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著者:高木敦史



学校で一番若く、僕らのことを理解してくれている胤森先生。そんな彼女を脅しているクネ夫に制裁を下すため、僕はクネ夫の車に「爆弾」を仕掛けた。ところが、その爆弾を保健室登校で、でも、学校で一番の成績を取り続けている小手毬さんが見つけるものだから困ったことになって……
一応、人の悪意が具現化した「バリエ」というものが見える、というファンタジー要素はあるのだけど、謎解きの基本は現実的な範囲内という学園ミステリ短編集の形をとっている。
物語の主軸としては、小手毬さんに振り回される僕こと、主人公の笹子くん、という軸と、二人の前に現れる謎というもの。
この小手毬さん、なんというか……面倒くさい可愛い(笑) 学校一の秀才、というところで、地頭がよく、しかも、人見知りで保健室登校。さらに、バリエが見える、ということもあって醒めたように見えて、結構なかまってちゃん。単純に要素を並べただけ、だけど結構、面倒くさい感じでしょ? でも、その中に照れ隠しとか、嫉妬とかが見えるだけに可愛らしさを感じられる。だんだんと雁字搦めになる笹子くんの気持ちってよくわかる。
その上でのミステリ部分。これは、小手毬さんの聡明さとか、指摘とかの厳しさ、っていうのも光るのだけど、かなり悪意とか、そういうものを感じられる。まぁ、深夜の学校内で全裸で何かをしているオッサンとか、狂気を感じるものもあるんだけど……。
ただ、気になったのは、これ舞台が中学校なんだよね、という点。正直なところ、高校の方が雰囲気に合っているんじゃないか、という感じがすること。話の流れとして、中学生である必然性はあまり感じられないし、むしろ、文化祭でミスコンやってたりする、なんていうのはむしろ高校じゃね? という感じがするのだ(まぁ、そもそも過疎地の学年1~2クラスしかなかった学校出身っていう自分の経験から、ってのもあるけど)
その部分が気になった、と言えば気になったけど、でも、学園ミステリとしての出来は良い作品だと思う。

No.4905

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著者:犬村小六



ガルメンティア王国に戻ったルカは、ファニアとの約束を守るために暗躍を開始する。ここまでの活躍もあり、王国に反感を持つ民衆からの絶大な人気を得て、反体制派の中心人物となっていく。そんな中、ファニアは、王政に身を捧げる覚悟を決め、リヴァノヴァ帝国皇帝・ジェミニの元に嫁ぐことを決めるのだが……
なんか、長いこと積んでいたのだけど(何しろ、その間にシリーズ完結編まで出てしまった)、やっぱり読むと面白い。
粗筋で書いたように、それまでの実績などもあって王国に対する不満分子の中心的存在に駆け上っていく。さらに悪化する民衆の暮らし。その中で、暴利を貪る貴族たち。今にも暴発しそうな民衆。しかし、王国という「共通の敵」がいる間は結束できるが、その先のビジョンがないままでは……。
なんか、この辺り、世界史におけるフランス革命とかを彷彿をさせる(というか、サロンに集って論戦をしている人々とか、フランス革命前夜そのもの) そして、そのフランス革命が、王政を打倒した後、大混乱に陥ったように、ルカが恐れているのもそれ。そのビジョンを作るべく奔走するが、そんな時に流れてきたのはファニアの結婚。
ファニアがジェミニに嫁ぐことで反乱を止め、無駄な血を流せないようにしたい。そして、ルカには自分との約束を忘れてほしいというファニアの願い。しかし、そもそも、この婚姻がジェミニによるルカへの嫌がらせであることは明らか。ファニア自身が本心でないこともルカにはわかっている。何より、王国と帝国が結ばれてしまうと、革命が難しくなってしまう。そんなとき、ついに暴発が始まって……
人数は多いが、所詮は烏合の衆である反乱軍。それで事を為すには、ルカたちが幸先よく勝利することが重要。その中の戦いで、それまで培ってきた戦友たちとの絆を信じて……
すれ違うルカとファニアの思惑。周囲の空気。そして、戦いの過酷さ。それぞれが、良い感じでアクセントとして物語を盛り上げてくれるので、文字通りの一気読み。そして、その革命が成功し、王宮へと辿り着き、再会を果たして……の、この結末。
本当、最後の最後に良いところをかっさらっていくジェミニ。本当、清々しいくらいの悪役だよな(笑)

No.4904

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著者:作楽シン



宮田博敏、33歳、独身。ある日、最悪な合コンから帰宅し、タバコを吸っていたところ、その煙を爆発させる能力に目覚め、トイレを爆発させてしまう。ほどなく現れたスカウトマンに誘われるまま、異能力を使って人助けをする『フェノミナンリサーチ』に転職することになるのだが、その相棒と紹介されたのは、先の合コンでひたすら高い酒を飲んでいた女性で……
異能力で事件を解決する連作短編集……ってことで良いのかな?
基本的には、どちらかというと生真面目な博敏と、こちらも生真面目であるんだけど猪突猛進タイプの未澪が色々とぶつかりながら……という感じなのだけど、事件についての解決よりも、二人の掛け合いがメインな話のように感じる。いや、二人とも、真面目は真面目なのだけど、どこか抜けている、というか、色々とおかしな言動の未澪に博敏がツッコミを入れていく、というのが主になっている感じ。
いや、実際、未澪のキャラが濃い、というか、面倒くさいというか……
先輩であり、真面目なキャラではある。ただ、何かにつけて暴走しまくるし、彼女の能力というのは、酒を飲んで、水を操ったり、酔拳(?)で格闘したり……というもの。しかも、何かにつけて、博敏を下に見ようとする。そんなだから、日本酒の一升瓶をもってリサーチ先に行って「一升瓶が重い」とか、飲みすぎでグデングデンになったり……で、振り回す。でも、確かに実力があり、ここ一番で博敏も協力を頼んだり何なり……。事件解決というよりも、その振り回されながらの博敏の苦労の方が印象に残った。その辺り、社会人として経験を積んでいるからこそ、の処世術と言えばそうなのだろうけど……
もっとも言い換えれば、それぞれのエピソードのオチとかは弱い印象。もうちょっとしっかりと事件に決着がつくような形にもっていってもらった方が読み終わってすっきりするかなぁ? というのはどうしても感じる。あと、博敏のタバコの煙を爆発させる、という能力ももうちょっと活躍の機会が欲しかったかな? と。なんか、それよりも、未澪操縦術とでも言うべき部分の方が印象に残ってしまっただけに。

No.4903

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(書評)おっさん吸血鬼と聖女。

著者:稲荷竜



「おじさん、朝ですよー!」「朝日が痛い!」 伝説の吸血鬼。神にすら刃向かうという真のバケモノ。……と呼ばれたのも昔の話。王国の片隅にある幽霊屋敷でひっそりとヒキコモリ生活を送る冴えないおっさんだった。教会から来た聖女は、そんなおじさんを吸血鬼だとは思わず、社会復帰させるべく奮闘するのであった……
というような設定で綴られるショートショート作品集。
物語の設定は冒頭に書いた通り。吸血鬼なのだけど、既に吸血鬼という存在はおとぎ話の中の存在とされており、聖女はおじさんのことを「ただの痛い人」扱い。そして、そんなおじさんを社会復帰(?)させるべく、色々な手を出して……。時代が時代なら、吸血鬼に対抗できる人類の希望であったはずの聖女。なぜならば、彼女には、吸血鬼の力を封じる力がある。そのため、吸血鬼がその力を見せようとしても「ただの痛い人」にしか見えない。そして、いくら言っても、認識してくれない聖女に妥協を重ねていって……。この設定が、何よりもうまく機能しているな、と感じる。
基本的に登場人物(?)は、色々とおかしな面々ばかり。聖女は、おじさんを社会復帰させる、というのだけど、どこか抜けており、明らかに爬虫類なのに「犬」と勘違いしてその世話をするように迫る。そして、その犬としておじさんの元に預けられたのは、伝説のドラゴン……なのだけど、なぜか、「かわいさ」を極めようとする。さらに、吸血鬼の下でコウモリが人化した眷属。さらに、聖女に紹介された(本当に)自分を吸血鬼だと言い張る少女と、本当に吸血鬼の血を引く少年。その面々のやりとりが常に行われる。
個人的に好きなのは、眷属関係の話かな? 眷属ということもあり、吸血鬼の僕。でも、見た目は少女なので、聖女からは、子どもか孫としか思われていない。なので、好きな食べ物を果物、虫と聞いてドン引きされたり、はたまた、吸血鬼の眷属だけど、その主の妥協によって変な方向に行くのに呆れたり……。基本、無口でひっそりと、という存在なのだけど、しばしば出てくる本音が可愛い。
まぁ、ショートショート形式で、特に序盤は同じようなやりとりが各エピソードで続いたりして、もうちょっとすっきりしても良いかな? と思ったところはあるんだけど、だんだんと、各キャラクターのやりとりに引き込まれて行った。

No.4902

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(書評)首無館の殺人

著者:月原渉



没落した貿易商・宇江神家。目を覚ました令嬢・華煉には、記憶がなかった。家族、使用人に囲まれ、閉ざされた館。そして、出入りが厳しく制限された中庭と、そこに建つ幽閉塔。濃霧が立ち込める夜、そこで奇妙な異様な連続首無殺人事件が始まる……
「使用人探偵シズカ」シリーズの第2作。
まず言うと、探偵役が、使用人であるシズカである、ということは同じなのだけど、前作よりもシズカの出番が多かったのがうれしかった。前作は、本当に最後の最後にちょっと出て……という感じなのだけど、今回は主人公である華煉のお付き、という立場であることもあり、常に事件の中で主導権を取っており、そういう部分でまず満足。
そして、その事件。そもそもが複雑な関係性を持った一族。その中で、中心人物と言える主家婦人が、密会をしている姿を目撃した直後に、その主家婦人と思しき遺体が発見される。思しき、というのは、首がなく、しかも、華煉が見た、彼女の胸元にある刺青もまた傷によって消えていたこと。そして、その後も次々と……
濃霧に覆われた館で起こる連続殺人。その中で、首が斬られる意味とはいったい? さらに、次第に明らかになっていく幽閉塔の意味。移動する首? 濃霧に囲まれた館というのが、作中雰囲気と上手くマッチしていて、作品を盛り上げている。そして、その館の秘密が明らかになったとき……
明治時代。まだ、精神医学とか、そういうものが発達しておらず、なおかつ、戸籍とか、そういうものも整備されているわけではない、という時代背景だからこそ、この真相は可能なのだろう。まぁ、華煉の正体が、というのはこの設定からして「こうだろうな」と予測できるのは確かなのだけど。
というか、物静かだけど、事件などを前にしたシズカの暗さをたたえた笑み。そんな彼女が一体、どういう存在なのか、という点については今作もわからないまま。とりあえずは、そこが明らかになるまでは追いかけたい。

No.4901

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(書評)特殊性癖教室へようこそ2

著者:中西鼎



「出来る限り全ての生徒に対して、家庭訪問を行ってください」 学級委員長の恭野文香から出された宿題。それに従い、胡桃沢朝日の家に赴く真実だったが、そこは、スパイとして育成するため、娘をビッチにすべく教育を施している家だった。そして、朝日は不出来を理由に、転校を命じられて……
ということで、話としては朝日のエピソードになるんだけど……感じとしては『出会ってひと突きで絶頂除霊』(赤城大空著)とかみたいな、特殊能力によるバカエロバトルになっている(笑)
話の流れとしては、ビッチを育成する家で、落ちこぼれということで転校させられることになった朝日を救うため、胡桃沢家に乗り込み、その家の人びととバトルをする、という話。ただ、そのバトルが本当にバカバカしい(誉め言葉)
だって、朝日の妹・宵美とのバトルはしりとりのようなカードバトル。しかし、その中で出てくる言葉を聞いただけで、なぜか射精をしている。もう、これ、一体何なの?(笑) さらに、周辺の男性陣をすべて「ペット」にしている祖母。さらに、父親との間では将棋……と言いつつその途中での視線でなぜか射精させられたり……とか、最早、訳が分からない領域に達している。まぁ、相変わらずドMの伏黒さんの検温とかエロ方面で突き抜けた部分もあるんだけど、それ以上にバカバカしい特殊能力バトルが印象に残って笑ってしまった。
話のまとめ方とか、そういう部分も2作目になって読みやすさが増したし、話としての完成度も高くなっているのかな? と感じる。
まぁ、それ以上に物語の方向性とか、そういうのもしっかりとしてきたし、このバカバカしい雰囲気がどういう風に転がっていくのか楽しみ。

No.4900

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(書評)昨日の僕が僕を殺す

著者:太田紫織



母が父を殺した、という淡井ルカ。引き取ってくれた叔母が亡くなり、ひっそりと暮らす彼は、クラスメイトに呼び出され、廃屋で化け物じみた老婦人に、死んだ娘の婿になれと迫られる。そんな彼を救ったのは、叔母の愛していたベーカリーの店長と従業員である榊。実は彼らにはある秘密があって……
話としては、完全にオカルト部分を前提とした話。粗筋で書いたように、化け物じみた老婆により、死者と結婚をしたことにより、不幸が襲ってくるような状態になってしまった。その状態から身を守るため、ベーカリーのお世話になることに……。そして、そのベーカリーの面々は、吸血鬼だったり、犬神憑きだったり、天狗だったりという人外の存在。そして、そんな面々に囲まれることになって……
まず言うと、この作品、ホラーとしての怖さ、というのはかなりあると思う。序盤の老婆に迫られるシーン。はたまた、叔母の亡霊に引きずり込まれそうになるシーン。そういうところは、本当に怖い。
ただ、なんか……話そのものがとっ散らかっている、というか……。ルカについての話のはずなのに、色々と横にそれたり何なりで、どこがメインなのかな? と感じる部分が多く、ちょっと読みづらさを感じた。この辺り、以前に読んだ『オークブリッジ邸の笑わない貴婦人』とかと感覚的に近いかな? それと、ルカ自身についても、結構、迂闊というか、そういうところが多いのも感情移入しづらいと思った部分。いや、実際、訳のわからないままにベーカリーに住み込みになって、しかも、その面々があまり多くを語らないから……ということを考えれば、疑心暗鬼になる部分もあるとは思う。思うんだけど、わざわざ自分からトラブルを引き寄せるように行動していて、読んでいて若干、イラっとする部分がある。
読み終わると、明るい兆しとかも見えて、こういう話の方向性とかわかるのだけど、ちょっと読みづらさを感じざるを得なかった。

No.4899

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(書評)ナイトメア・ゲーム

著者:真坂マサル



目覚めたとき、街は「悪夢」に覆われていた。悪夢が人々を食い破り始めた町。カルト宗教による異様な予言。その通りに混乱に陥る街で、慧吾たちのサバイバルが始まって……
ジャンルとしてはパニックホラー、ということになるんだろう。ただ、この作品の特徴は、そのパニックというのが、何に端を発しているのかわからず、しかも、超常現象的な形で発露される、というところになると思う。
例えば、「謎の奇病が蔓延している」とか、「ゾンビが大量発生した」とかであれば、じゃあ、病気にかからないようにするにはどうすれば良いのか? とか、ゾンビにどう対処すれば良いのか? とか、とりあえずの対処の方向性、というのが見えてくるはず。ところが、本作の場合、目覚めたら、ライフラインが途絶えていて、しかも、化け物が襲い掛かってくる。しかも、その化け物は、それぞれ全く違うものだし、また、町で亡くなっている人たちを見ると、特に怪我などをしているわけではないのに、苦しみながら……なんていう遺体も数多くある。結局、それは何なのだ? というところから始まり、生存者たちが集って、どういう理由なのか? どういう法則があるのか? という形で話が進んでいく。
そんな感じで、だんだんと作品のルールなどが明らかになっていって……というわけなのだけど、今度はそのルールが明らかになることで発生する仲間内での疑心暗鬼であるとか、イザコザなどが印象的。特に、作中、しばしば挿入される、時系列がちょっと異なる、それぞれの置かれた立場の断章がその嫌な雰囲気などを加速させていくのもうまい。「ああ、こういう背景があるのか」というのを巧みに演出しているわけだし。
勿論、この作品で起こった事とか、そういうものは、異能力とか、ファンタジーとか、そういう形で言い表すタイプの作品ではある。ただ、そのキャラクターのディテールなどをしっかりと詰めることで、現実的な部分も多く垣間見えて、言い方は悪いのだけど、電撃文庫ではなくて、角川ホラー文庫とか、そういうレーベルで出されても全く違和感を感じないような作品じゃないか、というように思えてならなかった。
というか……作中で出てくる化け物たちの、統一感の無さ。これは、作中のルール把握のカギでもあるのだけど、それ自体の気持ち悪さ、っていうのが、作品の魅力であるのは間違いないよな、というのを最後に付け加えておく。

No.4898

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(書評)猫と狸と恋する歌舞伎町

著者:額賀澪



変身能力を使って男子大学生のふりをしながら、気儘な日々を送る化け猫にして、オスの三毛猫である千歳。彼の目下の悩みは、恋に落ちた女性・椿に自らの正体を明かせないこと。そんなある日、椿の周辺に怪しげな男たちがいることに気づいた千歳は、その男たちを驚かせてやろうとするのだが……
まさか、こんな話だったとは!!
ネタバレにはなってしまうけど、タイトルやら序章やらでわかると思うので書いてしまうと、千歳の正体は化け猫。一方の椿の正体も化ける能力を持っている狸。そして、それぞれ、お互いの正体は知らずに、心惹かれてはいるけど、正体は明かせない、と思っている状態、から始まる。
こうなると、互いに人間ではない、という秘密を抱えた二人が、切ない思いを抱えて、すれ違って……っていうラブストーリーかな? と思うでしょ。でも、そういう話じゃないんだよな(笑)
これまたネタバレになってしまうのだけど、椿の周囲に見え隠れしていた男たちというのは、所謂ヤクザの愛宕組の面々。そして、澪は、ヤクザの親分の娘。……しかも、狸。「人の娘に手を出すな!」と別れるように脅され、さらに、監禁状態にされて、愛宕組の仕事をさせられるようになって……という風に転がっていく。もう、この時点で予想外の展開過ぎて、どうしたものか、と思ってしまった。
ただ、そんな予想外の方向の物語だったのだけど、読み終わってみると「家族」というテーマがしっかりと横たわっている、というのが強く感じられる。主人公の千歳からして、化け猫の一族に生まれたものの、稀に生まれる「本物の」化け猫ということで家族に疎まれ、事実上、天涯孤独のような状況。一方の椿は、ヤクザの娘、ということで孤独を味わい、そんな家のことを嫌っている。一方で、愛宕組は、文字通り「家族」のように組員を守る(勿論、家族ではない千歳は、徹底的に使おう、という魂胆) そして、愛宕組の命令で千歳が監視することになった父子、彼らが接触していた老婦人……
家族をテーマにした作品って、「家族って素晴らしい」的なものになったり、逆にミステリ作品とかだと「家族だからこその戒めに苦しむ」なんていう話になったりと、極端に振れるようなものが多いのだけど、家族だからこそ、の絆もあり、一方で、家族だからこそ、のいざこざもあり、と、ある意味では凄く等身大な家族像を、色々なアレコレを交えながら描いているのではないか、と感じる。家族の団結が凄いからこそ、周囲に傲慢になってしまったり、家族内関係で色々とあったりとかは、どこでもあるだろうし。読みながら、そういうのを思い浮かべてしまった。
一応、「別れろ」と言われた千歳と椿の関係も復活して、とかあっての終わりになるわけだけど……正直、終盤の吹っ切れた椿さん、怖い(笑) でも、そういうのも、家族関係……なのかな?(笑)

No.4897

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著者:米俵好



エロゲをこよなく愛する逢坂輝夜。今日も新作エロゲを買い込み、早速プレイ。そして、Hシーンに! ……が、そのHシーンの演技は……。げんなりとした気分を抱えたまま登校した新学期初日、学園一の美少女・七家茉莉がその演技をしていた声優である、ということに気づいて……
ということで、あまりにアレな演技の声優である・七家茉莉と一緒に行動をし、ヒロインの行動などをなぞるなどして、演技を上手くしようと練習をする、という話。……昔、あるエロ小説で、そっくりなシチュエーションのものを読んだ気がする(阿呆)
まぁ、こちらは健全な作品(?)なので、直接的な行為はないんだけど。
どちらかというと、そういうシーンを交えながらも、同じくゲーム好きな妹・寧々音、その友人で、毒舌だけど主人公に好意を持っていると思しき市姫らとのやりとりを中心にした作品という感じ。
文字通り「三次元なんて」という輝夜。そんな彼と、茉莉が一緒にいることについて、周囲から色々と言われたりする。あくまでも、特訓のため、と言いつつもだんだんと茉莉に親近感を覚えていって……。その一方で、妹の寧々音、市姫らも甘えてくる。よくよく考えると、結構なハーレム状態よな。というか、この辺りの面々とのやりとり結構好き。全員、可愛いし。
そんな中で、ついに、ネットでの酷評などを茉莉が知って……となるわけだけど、ここはちょっと尺があっても良かったかな? という感じがする。解決方法とか、そういうものはいいアイデアだとは思うのだけど、その方法へ辿り着くまでの考察とか、大人の事情を解決するための方法とか、そういうものがもうちょっとあればもっと盛り上がったと思うだけに。ちゃんと、「特訓」の成果が出ている、ということのために、そこまでのやりとりが生きているのは間違いないのだけど。
でも、そういうところ関係なく、ラブコメとしても十分に楽しかった。……というよりも、キャラクターが皆、可愛かった。

No.4896

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