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著者:小路幸也



花陽の医大受験が終わり、春を待ちわびる堀田家。そんな堀田家には、またもや騒動が?
シリーズ第13弾。昨年、刊行されたものが番外編だったので、2年ぶりの続き。そして、前作で引っ張りに引っ張った花陽の受験の結果が!!
それぞれのエピソードで、事件が起こって……という形ではあるのだけど、ここまで来るとその部分よりも、堀田家を巡る人間関係の変化、というところこそに大きな比重を感じてしまう。
ネタバレになっちゃうけれども、花陽が無事に医大に合格し、研人のバンドの人気も上々。けれども、その一方で、マードックが親の世話などをするために英国へ行ってしまったり、はたまた花陽に恋人……候補(?)が出来たり、我南人のバンド仲間が……となったり……。人間、生きていれば必ず、出会いも別れもあるわけだけど、このシリーズって、特にここ数作はその傾向が強くなっているように思う。13作、つまり、13年。当初はまだ小さな子供だった花陽が大学生になって、という年月からもわかるように作中の人物も年を取っている。勘一は元気だけど、当然、亡くなる人も出てきたりするわけだし……
そんな中で、今回、一番印象的だったエピソードは青の母である女優・池沢由梨枝のヌード写真? というもの。死亡した写真家……というか、有名プロデューサーの遺品整理の中で発見されたそれは? という話かな。ある意味、家族のような存在の由梨枝が、その人物と? しかし、我南人はそんなわけがないと言い……。番外編であった前作『ラブ・ミー・テンダー』が若き日の我南人を中心として、芸能界の話とかだっただけに、その写真を巡ってのアレコレが色々と印象に残った。
そして、そんな話の締めとして、新たな家族と別れ……
新たな家族については、研人。……なんつーか……そういうところまで含めて、我南人と似ていないか? という感じの婚約宣言。……お前、まだ高校生だよな……(苦笑) 一方で、別れは……。こちらは、湿っぽい話になるのかと思いきや、我南人らが、っていうなかで、寂しいけど、でも「らしい」、そんな別れだったな……
シリーズを重ねるごとに、堀田家周辺の面々があまりにも天才すぎやしないか? って気がしてしまうのは、多分、自分のひがみ。

No.4840

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(書評)ノーマンズランド

著者:誉田哲也



再び部下を喪い、そのことに悩む姫川玲子。そんな彼女が捜査に当たることとなったのは、葛飾区で発生した独身女性の殺害事件。ところが、その有力被疑者が別の署によって捕捉されていることをしって……
久々の姫川玲子シリーズ。
これまでは良くも悪くも、事件が発生して、それを解決して、というのがこのシリーズの形。つまり、ある意味、オーソドックスな物語の流れだったわけだけど、まず、そこを外してきたな、というのを読みながら思う。
物語の導入は、冒頭に書いた通りなのだけど、今回はガンテツこと勝俣視点の物語も挿入される。元警察庁出身の政治家の片腕として動くことを強要される勝俣。反吐が出る思いを抱きながら、その手先として動き出す勝俣。しかし、そこへ横入りをしてくるのが姫川。そして、その背後にあるのは北朝鮮による拉致問題……
こういうと何だけど、葛飾区の事件そのものは、物語の導入というかそういう感じ。そもそもそちらの事件は解決しておらず、勿論、拉致問題の方も。その中で、姫川が、過去に部下を喪いつつも、その動物的な直観というか、そういうものをもって事件の背景を見つめ、周囲へと介入していく様。そんな姫川の姿を見守る菊田ら、元姫川班の面々。そんな姫川を「死神」を嫌いつつも、しかし、しっかりと意識せざるを得ない勝俣。そんな面々の心情を主にした物語になっているような感じがする。
こういう見ると、シリーズそのものも、ちょっとそれまでとカラーを変えてきているのかな? という気がする。
このシリーズ、以前に『硝子の太陽』で、ジウシリーズとのコラボをやったわけだけど、そういうところの影響もあるのかな? 
一つの殺人事件を題材にした物語としてはちょっと中途半端な感は否めない。ただ、これまでのシリーズを踏まえての、それぞれのキャラクターの掘り下げをしていった物語、と言えるのかもしれない。

No.4840

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著者:佐藤青南



催眠商法によって似非健康商品を売りつける「ご長寿研究所」の店長が殺害された。その現場の近くで、別件で指名手配されていた男の目撃がされているものの、絵麻はそのことに違和感を覚える。そして、その捜査の過程で浮かび上がったのは、行動心理学の専門家で、絵麻の恩師・占部亮寛で……
シリーズ第6作。今回は長編。
これまでは、基本的には短編形式で、絵麻が演技の専門家だったりの嘘を見破って追い込んでいく、という話なのだけど、今回の敵は絵麻の恩師であり、そのようなことを知り尽くしている相手。何しろ、冒頭から、目撃者たちの記憶を上手く操作して、別の人間を……となるから。そして、いざ、絵麻との対決になると、薬を使うことで、そのなだめ行動を隠蔽してくる。
作中、そもそもの被害者が催眠商法をしている存在、ということもあり、行動心理学に関する蘊蓄などが多く、その中でのアレコレに多くの分量が割かれている。そして、そんな形で物語が進んでいく中で出てくる恩師・占部の言動への違和感……
占部は生活圏を転々としていた。その生活圏は、短期間で出店し、そして、撤退する「ご長寿研究所」の店の近く。中には、その常連となった老人の洗脳を解く、などの行為もしていた。しかし、自身はその「ご長寿研究所」の上得意客として、数多くの金を使っている。催眠商法のやり方を熟知している占部。しかも、洗脳を説くなどしていることから、知っていて敢えて、というのがわかる。それは何故なのか? そして、浮かび上がってくるのは、一人の女性店員をひいきにしていたこと。老いらくの恋? しかし、そこにも違和感が残って……
流石は、行動心理学の専門家、と言ったところか。周到に、何重にも仕掛けられた罠の多段構造はなかなか見ごたえがある。絵麻の過去とか、そういうところも読みごたえのあるところだし、珍しく、西野が活躍していたし(キャバクラ通いが捜査に役立つとは!) そういうところは長編ならでは、といったところじゃないかと思う。
多少、心理学の蘊蓄話などが多く、ちょっとテンポが悪い、と感じた部分も無きにしも非ずではあるのだけど、それでも楽しく読むことが出来た。

No.4839

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著者:旭蓑雄



「くっくっく……さあ、ヤス。私が男に慣れるための練習台になるのです」 生身の女の子に興味が持てないヤ高校生・ヤスが同人誌即売会で出会った憧れの絵師・ヨミさん。その少女は、性欲を集めてむさぼるサキュバス! ……だが、ヨミはサキュバスなのに男性恐怖症で……
なんていうか、シチュエーションとしては鉄板という感じかな?
一応、ヨミの設定から言うと、サキュバスだけど男性恐怖症。そのため、性欲を集める、という仕事が出来ない。そのため、エッチなイラストを投稿することにより、それを辛うじて集めている、という存在。だからこそ、安全パイなヤスを使って恐怖症の克服を狙う……と……
まぁ、ぶっちゃけ、人一人の性欲よりも、徹底的に拡散したエロ画像の方が性欲を集められるのでは? という気がしないではないけど、それを言っちゃおしまいな気がしてきた。
ともかく、ニセの恋人、という形にしてヨミの練習台になることになった二人。タイトルにもあるように、ヨミの基本、ヘッポコなのに妙に自信ありげな態度っていうのは可愛い。そして、ヤスとしては、それに呆れたり、ツッコミを入れつつも、ヨミが描くイラストを見たいがために付き合う。しかも、そのイラストは自分のためだけ、というものだから余計に……。そして、ヨミの保護者的な立場のリリィも、ヨミを(そのままの意味で)溺愛しているために、色々と暴走を手助けしたりとか、ヤスが所属する漫研の蛍さんは腐女子だったり、とか……周辺の面々のキャラクターも良いキャラしていて、テンポよく楽しむことが出来た。終盤、ヨミのノルマ達成が厳しい、っていうときに、ヨミをパシリ扱いしているサキュバスに対するヤスの行動も良かったし。
最初に書いたように、利用できるから、という理由で始まったものが……っていう鉄板シチュエーションでやっているために安心して読むことが出来る。その上で、ヘッポコだけど(だから?)かわいいヨミと、完璧に見えて色々とアレなリリィらが上手く組み合わさってこの作品の味になっていると思う。面白かった。

No.4838

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(書評)青空と逃げる

著者:辻村深月



深夜の交通事故から幕を開けた家族の危機。押し寄せる悪意と、興味本位の追求から母子は逃げ出して……
みたいな感じで物語が始まるのだけど、序盤はちょっと物語の設定を理解するのに苦労した。WEB書店の粗筋部分を見ると、何となくの概要がわかるのだけど、それを知らずに読んだ私にとっては……
というのは物語はいきなり四国、四万十の町で逃亡生活をしている母・早苗と、子・力が暮らしているシーンから物語が始まるから。四万十の地での慣れない生活を続けている二人だったが、芸能事務所の人間を名乗る存在が現れ、その生活は終わりを告げる。そして、再び別の地へ……四万十、家島、別府、そして、仙台……。舞台を変えながらの逃亡生活の中でだんだんと、どういう状況が明らかになっていって……
そもそもの発端は、深夜の交通事故。舞台俳優である力の父が巻き込まれたのだが、そこに一緒にいたのは同じ舞台で共演するはずだった有名女優。しかも、スキャンダルが発覚した直後に女優は自殺し、父は失踪……。そこで……というのが明らかに。しかし、その中で、今度は失踪に別の側面があることも明らかになり……
当初は夏休みだけの逃亡生活。しかし、騒動は収まらず、どんどん長期化していく。生活費、さらに、力の学校はどうするのか? そんな中で、それぞれの地元で助けてくれる人がいて、打ち解けていくのだけど……。単純にサスペンス、というだけでなくて、その中での現実的な悩みだとか、そういうものが表出していくのがリアリティを持った話にしているのは確かだと思う。勿論、そんな生活の中での早苗、力の成長といったものも描かれている。
ただ……どうしても、分量が多いとか、そういう部分も合わさって、物語の主軸となる部分がどこなのかわかりづらくなってしまったような気がする。逃亡先での日々なのか? それとも、逃亡の背景、失踪の真相は何なのか? どちらがメインなのかよくわからず、しかも、失踪した父の真相部分について、そんなに引っ張るほどのモノだったかな? という気がしてしまうのだ。皆が黙っていたからややこしくなっていただけじゃないか、とでもいうか……
それぞれのシーンそのものは面白かったのだけど、終わってみると、ちょっと設定が強引だったかな、という感じがしてならない。

No.4837

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(書評)首の鎖

著者:宮西真冬



祖母と母の介護に追われる勝村瞳子。40歳を目前に、将来が全く見えない日々を送るある日、妻の束縛と、実家の確執に悩む男性・丹羽顕と出会う。少しずつ、顕に惹かれていく瞳子だったが、「妻を殺してしまいました」という丹羽の電話に……
前作『誰かが見ている』では、結婚生活に纏わる色々な悩みを持つ女性たちの暗い想いが交錯していく様を描いた著者だけど、保作は、家族という面倒くさい関係について描いた作品となった。
冒頭の粗筋に書いたように、不倫関係。その中での殺人。そして、瞳子へ対する嫌がらせ……といったサスペンス要素は沢山ある。あるのだけど、それ以上に、家族というものの面倒くささとか、そういうものが印象に残る。
主人公の一人である瞳子。飲食店を営む家に生まれ、病に倒れた母の介護をしながら、実家の手伝いをしている。嫁であった母と、父の母である祖母との間に確執があり、母は何かにつけ、義母に似てくる自分に良い感情を抱いていなかった。そのことが瞳子にとって、最大の劣等感に。そして、自分が嫁にいびられたから、と兄嫁に介護をさせようとはしない。しかも、ヘルパーなども嫌がり、結局、皺寄せは瞳子に……
では、父はどうか? と言えば、そんな様子を当たり前として捉え、むしろ、瞳子を追い詰める。そして、丹羽との関係が進んでいく中で……
外面が良くて、とか、毒親、とか、言葉にすると陳腐なのだけど、高齢化とか、そういうことを考えると決して他人事ではない問題。親の言うことは聞いて当たり前、親の世話をして当たり前。そういう言葉の息苦しさがこれでもか、と伝わってくる。
一方の丹羽。妻は実家と折り合いが悪く、しかし、その実家の母は認知症の疑い。妹から、少しは……と言われるが、妻はそんな丹羽の行動を許さない。そんな矢先の事件。しかし、妻の携帯にかかってくる非通知の電話を取って知ったのは……。多分、妻の言葉は本音なのだろう、と思う。しかし、それでも、一見、良好な関係を続けていたことを知らずに殺してしまった。ただ、自分は振り回されてしまっただけ……という丹羽の絶望たるやいかに?
謎解き要素とか、そういうものよりも、何よりもタイトルが示すように、家族という鎖に縛られ、振り回された二人の絶望感が強烈に残る作品と言える。

No.4836

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(書評)空飛ぶ卵の右舷砲

著者:喜多川信



人造の豊穣神・ユグドラシルにより人類は地上を追われ、地上には樹獣、樹竜といった怪物がはびこった。小型ヘリ「静かなる女王号」の副操縦士・ヤブサメは、師であるモズとともに樹竜狩を生業としていた。そんな中、東京第一空団の副長セキレイを救った二人は、その腕を買われ、旧都市・新宿の大規模探索作戦への同行を依頼され……
第12回小学館ライトノベル大賞・審査員特別賞受賞作。
世界観が好きだな~! 何よりもそこかな?
世界観は冒頭に書いたようなもの。そして物語は、そんな世界で、小型ヘリ1つで樹竜すら倒してしまう、という凄腕のハンターであるモズとヤブサメが、世界でも最悪レベルと言われる新宿の樹海に入り、激戦を繰り広げる、という話。話の流れは凄くシンプル。まぁ、ヤブサメとセキレイとの駆け引きとか、そういうものはあるのだけど、メインとなるのは戦いだからね。
とにかく、金にだらしくなく、やることなすこと滅茶苦茶なモズ。そんなモズに振り回されながらも、その期待に応えるヤブサメ。そのやりとり。その中で感じられる「相棒」としての信頼感というのも良い。とにかく、その雰囲気にいい意味で、引き込まれた。
まぁ、やっていること、というのは小さなことではある。でも、その世界観もまた、モズたちの魅力を引き出していると思う。何度も、モズは凄腕のハンターと書いたのだけど、それだってやれることには限界がある。そして、彼らの目的というのは、新宿の町に遺された旧時代の道具などを回収すること。この辺りの、ある種のみみっちさっていうのも世界観に魅力を与えているのだと思う。
シンプルイズベスト。この作品には、その言葉が凄く似合うと思う。

No.4835

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(書評)体育会系探偵部タイタン!

著者:清水晴木



中学最後の大会にして、初出場した全国大会で大惨敗し、二度と野球はしないと誓った白石球人。高校入学後、自分の居場所を探す球人は、体育会系探偵部へ連れていかれ、仲間にされてしまう。文化系探偵部との対立などもある中、学内では連続盗難事件や、校内新聞を模倣した悪戯騒ぎなどが起こって……
体育会系っていうか、勢いだけの探偵部というか……
冒頭に書いたような形で始まる物語。学内で起こる事件の謎を解く、という形なのだけど、基本的に行動あるのみ。推理とか、そういうところよりもまず行動。例えば、冒頭のエピソードである連続盗難事件。普通の盗難事件ならば、誰が犯人なのか、とか、そういうところを優先するのだろうけど、とりあえず「探す」。そんな感じで進んでいって、推理そのものは球人の幼馴染で、文科系探偵部の少女に任させてしまったりする。
ミステリとして見た場合、トリックとか、そういう部分は一応あるけど、そんなに突飛なもの、という感じではない。
ただ、この作品の場合、そこがポイントじゃないんだろうな。とにかく、ノリの良さ、というか、勢いだけで行動をしていく部長たちのノリ。そして、そんなタイタンの面々の中に巻き込まれて、色々とツッコミを入れつつも、そこへ居所を見出していく球人の姿。その部分こそがキモなのだろう。基本的に、暑苦しいけれども、根は良い奴ばかりの面々とのやり取りとか、嫌みがなくて(良い意味で)サッパリとした雰囲気になっているのが何よりもの長所だと思う。
ただ……作中のポイントとなる文化系探偵部との対立とか、タイタンをつぶそうと動く黒幕との争いとか、そういうのがイマイチ外連味に欠けたかな? という印象。色々と煽られている割には、その部分は結構、おざなりだったように感じるだけに。そこがちょっと勿体ないかな? と……

No.4834

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著者:SOW



「久しぶりだなぁ、パパだよ」 ある日、トッカーブロートに現れた男・マイッツァー。彼は、自らをスヴェンの父親と言い張るが、機械仕掛けのスヴェンに父など存在しないはずで……。そのころの王都。ソフィアは、ヒルダたちと共に、新大陸国家ノアから来た謎の将軍を出迎えるのだが……
話としては、一つの繋ぎというか、そういう感じなのだけど、逆に日常回的な雰囲気があって好きだな、これ。
物語としては大きく3つのパートによって構成。まずは、トッカーブロートでの話。
これは冒頭に書いたように、機械であるスヴェンに、父を名乗る男・マイッツァーが現れての騒動。「父です」という挨拶に本当にそうだ、と思い込んでしまうルート他、周囲の面々。勿論、スヴェンはそれに反発するものの、しかし、その反応、言動が「そっくりだ」と周囲を納得させる結果。しかも、そんなマイッツァーをスヴェンが襲撃するものの返り討ちにあってしまうほど「強い」。
一方のソフィア、ヒルダ、リーリエが出迎えることになった将軍は……ペンギン!? 一種のマスコット的な存在であり、しかも賓客扱いなので無下には出来ない。ペンギンを相手に、というある意味、無情な任務をこなすのだけど、そんな将軍を狙う存在まで現れて……。
どちらも、なかなかのカオスっぷり。前巻でルートの幼馴染的な存在であるマリーが……というのがあっての話だったのだけど、基本的には明るい話で、楽しく読むことが出来た。しかも、その中で、マリーの件もあって落ち込んでいたルートがマイッツァーの言葉により、ちゃんとスヴェンに向き合う方向へ、というのはちゃんと前作からの伏線と言えるのだろう。一方のソフィアの方は、そのまんまカオスな話。ペンギンを守る、って時点でアレだし、しかも、リーリエがそのペンギンの言葉を理解して……とか、そういう点でも。それだけに、カオスな展開が続いた先での一発はスカッと爽快感があった。
その一方で、真面目に世界観を掘り下げる形での話が、ゲーティアらが発掘していた遺跡の調査に赴くことになるダイアンのパート。こちらは、第1巻から、どういうこと? という部分のあった世界観の方に強く働きかけていて、いよいよそちらが大きな意味を為すんだな、というのを感じさせてくれる。
前から書いているけど、私自身は、このシリーズ、日常のアレコレが好きなだけに、その意味でも楽しかった。

No.4833

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著者:はやみねかおる



自分が小説の主人公になることができる「メタブック」。ディリュージョン社の新入社員・森永美月はある日、自殺した作者が遺したと噂される「呪われたメタブック」の存在を知る。その物語は読んだ者に不幸な出来事をもたらすという。そんなメタブックをやりたい、という者が現れて……
シリーズ第2作。
前作は、どちらかというと「メタブックとは?」というような部分を紹介しつつ、それを実際に行うことの大変さを描きつつ、その中のトラブルなどを解決していく、という形のミステリであった。それに対し、今回は、結構、ストレートな「呪いのメタブック」の謎を解く物語となっている。
物語の依頼人はオカルト番組などを作っている人物。メタブックを使用したい、というのも、それを実証したいから。勿論、美月、手塚ら、ディリュージョン社の面々としては無事に終わらせることが何より。そこで、舞台とする街を調査することに。廃村となったそこで暮らす偏屈な老人などもいる中、嫌がらせ行為やら何やらが起こって……という感じで、いざ、物語の中での出来事、というよりも、その前段階。そもそもの脚本の謎を、という側面が強い物語と言える。
前作からそうなのだけど、美月と手塚のやり取りが、より、こなれてきた感じ。前作以上に、美月のことをぞんざいに扱う手塚。でも、山の中で育った美月も、自然とか、そういうものに疎い手塚にツッコミを入れたり、ミステリのお約束をアホらしいと言ってみたり……。そういうのを鑑みると、確かに、美月に対する手塚の態度って、帯に書かれている「ツンデレ」っていうのがわかる気がする。
で、その「呪いのメタブック」に秘められた謎。
一見、何の不思議もないようなラブストーリー。しかし、作中に仕掛けられた数々の悪意の罠。その罠が炸裂してしまったら……
そして、そんなものでも書いてしまったライターの、ライターだからこその性。美月と手塚の軽妙なやり取りがあるからこそ、その仄暗い真相が印象に残った。

No.4832

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