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著者:辻堂ゆめ



急性の脳腫瘍に倒れた夕夏。医師の態度から考えて、最悪の結果と受け取らざるを得ない。そんな絶望に涙する夜。真っ黒な服装に身を包んだ青年が現れる、自らを「悪魔」と名乗る彼は、大切なものと引き換えに命を救う、と持ち掛ける。その取引に応じた夕夏。腫瘍は良性に代わっていたが、2年間の記憶を失っていて……
形としてはミステリだけど、印象としては恋愛小説。
物語は冒頭に書いたようなところで始まる。2年間の記憶を失った夕夏。疎遠であった実家とのかかわりも復活し、そして、本人としてはタイムスリップしたかのような状態。銀行員、という仕事に復帰したものの、記憶は新入社員の状況であることから、周囲には迷惑をかけっぱなし。しかも、以前の自分は「できる」人間であったらしく、また、同僚らとの関係にも戸惑いが……
まず、その辺りのリアリティとでもいうべきもの。確かに、2年間、違っていたら……っていうのはあるよな。自分の職場でのことを考えても……だし(例えば、今日、記憶が2年前のものになったら、消費税率が違っている、っていうだけでも大きく戸惑いを感じるはず)まして、自分も、一応、指導係みたいなことをしているけど、そういうところでも……。結構、引っ込み思案というか、そういう部分も含めて、こうなりそうだな、と共感することが出来た。
そんな戸惑いを覚える中、アフターフォローとして現れる悪魔こと水上。ただ、夕夏の様子を聞き、というだけの彼は本当に「悪魔」なのか? そして、自分が失った「大切なもの」とは……
まぁ、謎としては、その部分なのだけど、読んでいるうちに、「きっと……」っていうのはわかると思う。思うのだけど、その予想通りになってくれることで、良かった、と思えるのが何よりじゃないかと思う。家族に関するいざこざとか、そういうところも、ちゃんと解決を迎えているし、安心して読み終えることが出来た。

No.5269

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マツリカ・マトリョシカ

著者:相沢沙呼



学校の近くにある廃墟ビルに住むマツリカさんに命じられ、怪談についてを探る日々を送る柴山。そんなある時、偶然出会った1年生の春日さんから、『開かずの扉の胡蝶さん』という怪談を耳にする。2年前、密室状態の第一美術室で女子生徒が襲われた事件。解決されないままに時が過ぎたそれを調べている柴山が、その部屋へはいると……制服を着せられたトルソーが散らばる蝶の標本と共に転がっていた。しかも、柴山は、その制服を盗んだ容疑をかけられてしまって……
シリーズ第3作。
これまでの2作は短編集という形式だったのだけど、今回は、長編エピソードになっている。
物語の主軸となるのは、過去の密室と現在の密室の2つ。しかも、柴山が、先輩の制服を盗んだ、という疑いをかけられている状態で、タイムリミットのある状態で、その犯人を暴かねばならない、という形に。挙句、ちょっとした(?)出来事により、マツリカの協力を得られない、という中で、柴山は、写真部の面々らと謎解きに向き合うことになる。
謎解き、そのものは、所謂物理トリックから、心理トリック、はたまた、そもそも密室じゃない、というような方法論に至るまであって、その仮説を打ち立てては、それを消していって、というような形で進んでいく。
で、今回の話を読んでいて思ったのは、柴山の置かれた状況っていうのは、大分、変わってきているんだな、ということ。
『マツリカ・マジョルカ』の頃って、周囲と打ち解けるとか、そういうものがなく、ある意味、マツリカさんだけが近くにいた、という環境。しかし、今回は、後輩である春日さんや、写真部の面々と喧々諤々の謎解き合戦をして、とちゃんと、他者と打ち解けている、というのがよくわかるわけである。しかも、その中で、自分を陥れた相手が判明した時、かつての自分を顧みて……。
謎解き部分も勿論、見どころではあるのだけど、それ以上に、柴山自身の変わったところ、変わらない部分。そう言うものが印象に残った。

No.5268

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著者:遠山郁



医師に言われたとおりに処方薬を塗布しているのに、足のかゆみが収まらない。水虫と思しき症状に苦しむホテルマンの水尾は、薬局で、毒島という女性薬剤師と出会う。その毒島は、症状、医師とのやり取りなどを細かく尋ね、医師の診断に疑問を抱き……
から始まる連作短編集。全4編収録。
タイトルやら、粗筋やらかもわかるように、薬剤師、薬、というものを題材にした物語。一応、犯罪に関する話なども含まれているものの、薬局などを舞台にして、薬に纏わるアレコレというのを物語に添えた形で綴られている。全4編なのだけど、1つのエピソードの中で、複数のトラブルが起きている話が多く、文字通り、薬に纏わる様々な問題を広く知らしめているな、という感じを受けた。
例えば、上に書いた粗筋でわかるように、そもそも、処方薬を指示する医師の問題。医師だって、人間だから……というのは勿論、ある。でも、中には、まともに診断もしないで「きっとこうだ!」というような形で間違った薬を出し、全く効果が出ないで……ということだって起こる。また、薬自身の効能。「この薬は、この病の薬」というようなことを言われるが、しかし、その病だけのものではない。使い方によって、別の目的になることもあるし、それが間違っているわけではない、なんていうこと。逆に、薬の効能についての誇大広告だったり、反対に、効能などないのに効能を謳うニセ医学の問題だったり……。1つ1つの話については、聞いたことがあるな、というものもあったのだけど、それらをまとめて、薬剤師とか、そういうものの周辺の色々なアレコレについて網羅的に感じることが出来た。
で、そんな中で気になっていくのは、ヒロインでもある毒島について。非常に生真面目で、知識豊富。変な話、医師の言うとおりに薬を処方していれば楽に仕事ができるのに、疑問を抱けば、その指示に疑問を呈することも厭わない。さらに、患者に説明するために、と、自らその薬を試してみたりもする。そんな彼女の源泉は何なのか? というのが気になるところなのだけど……
正直、ここはもうちょっと踏み込んでほしかったな、というのを感じた。一応、説明とかもされている。されているのだけど……1編で、複数のトラブルなどを入れる、という構成で、最後の4編目も描かれるのだけど、毒島さん自身についてはオマケレベルになってしまっているように思えたため。これだけ、引っ張った割に……という感じなのだ。そこはちょっと勿体ないかな? と感じた。

No.5267

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透明な君の後悔を見抜けない

著者:望月拓海



気付くと、駿府公園の中央広場にいた。ぼくは……誰なんだ? そんな僕に声をかけてきたのは、柔らかな雰囲気の大学生・開登。人助けが趣味だという彼は、僕と共に、僕の過去を探しに出かけ……(『熱血漢な野末一樹の後悔』)
など、後悔を抱えた主人公を、開登が解決していく連作短編集。全4編を収録。
これ、何気に感想を書きづらい。というのも、物語を書こうとしていくと、どうしても、思いっきりネタバレをせざるを得ないから。なので、1編目について、思い切りネタバレ全開で書かせてもらおうと思う。
一応、数行、開けるので、そのつもりで……



基本的に、物語は、幽霊となった主人公の後悔を、開登と共に晴らして……という形の話。1編目については、一樹が、というのがわからない状態で始まるため、作中の時間が大きく異なっており……というサプライズが上手くハマっている。
そして、2編目からは、そういう話なのだ、という前提で読み始めることになるのだけど、2編目は、そういうものとして読んだときに、素直に良い話だな、という感じ。鑑別所で出会った少女たち。共同生活を続け、ダンスチームを組んだのだが、自分はあまり才能が……。そんなときに起きた些細な喧嘩のままに……。謝罪をしたい。けれども、素直になれない少女。そんな少女を旅出せるために開登がとった手は……。ちょっとしたサプライズ。寂しい部分はあるけど、でも。そんな読後感が印象的。
そして、3編目では、開登についての話が入ってきて……。開登と出会い、自分の後悔とは? と考える可子。そして、なぜか、恋人(のような)となって、という形になる二人だったが……。恋人として接するうちに、自分の想い、というのを自覚していって……。こちらでもひっくり返しはあるのだけど、それよりも、可子、そして、開登の心情とでもいうべきもの。
自分の価値をどう位置づけるのか? 自分はなぜ、存在しているのか? 何も持たない(と本人が思っている)自分が出来ることとは……。拾遺からも「おかしい」と言われるくらいに周囲に気を遣う開登。そして、そんな開登に自分の心を重ねていく可子……。そんな二人の心、というのが何よりも強く印象に残った。

No.5266

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無実の君が裁かれる理由

著者:友井羊



ある日、大学生の牟田は、同級生の女学生にストーキングをしている、と疑われてしまう。身に覚えのないことであったが、周囲の人々は、SNSなどで、その情報を拡散。そんな牟田が、冤罪事件などに詳しい、とアルバイト先の店長に紹介されたのは、冤罪について調べている先輩の紗雪で……
というところから始まる連作短編。全4編を収録。
冤罪。実際にはやっているわけでもないのに、罪を犯した、とされてしまう事例。そんなものを題材にした物語。
冤罪がなぜ起きてしまうのか? それについては、色々なことが指摘されているけれども、そういうのを色々と取材し、物語に落とし込んだな、という感じ。
1編目については、SNSと、そして、証言というものの危うさ。思い込みとか、そういうものが出た「強い証言」があると、実際には見ていないのに、実際には違っているのに「そういうものを見た」と自分自身を騙してしまう。そして、そういうものが、SNSを通じて拡散され、より、その疑いは濃くなっていく。その中で過激化するものもあるし。そんな心理学的な要素が説明されていく。また、2編目は、自白。自白をすると、それをもって「有罪」とされがち。それは、裁判でも。しかし、実際に起きた冤罪事件でも、実際にはやっていないにも関わらず、自白してしまうことがある。特殊な条件下で、長時間の苦痛が続いたとき、その状況から逃れるために……。さらに、裁判官の側の問題など、そういう情報が色々と整理され、物語としてうまく説明されているな、と感じる。
もっとも、だんだんと紗雪自身の話とかへとシフトしていく、という話の組み立て方とかは、良くも悪くも定番という感じだし、その最期の事件については、ちょっと強引かな? と感じられてしまった。どっちかというと、物語というよりも、情報の面白さ、という部分が印象に残った。

No.5265

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妹さえいればいい。13

著者:平坂読



冬が終わり、季節は春。主人公たちはそれぞれ、新しい一歩を踏み出し始める。
最終章開始、というか、前巻で伊月と那由多のアレコレがまとまって……というのが、京や千尋の新生活が始まって、というのも相まって、文字通り「新章」という印象の話だな。
大学の工学部に入った千尋。TRPG部に入った彼女は、完全にオタサーの姫。そして、自分を大事にしてくれるのは良いけれども、どうにも……。そこで、春斗に「彼氏役」をお願いして……。まぁ、それ自体は良いのだけど……何気に、ここで描かれる千尋の執念深さが怖いんですけど(笑) 春斗の想い人は、京。それはわかっている。けれども……
一方、ブランチヒル文庫の新米編集者となった京。入ってしばらくの仕事は、それまでやってきた編集部のアルバイトの延長線ということもあり、無難にこなす日々。そんな中、WEB小説を発表している人にコンタクトを取る。が、その作家は、GF文庫でトラブルを起こして追放された和泉。その和泉の作品を担当することになったのだが……
「人の話を聞かない」「自分の要望だけを押し付けてくる」
過去、そんなことが理由でトラブルに至った和泉。実際に京が担当をすると、いきなり「このイラストレーターが良い」と言い出し、さらに、作品の改稿をお願いし、了承したはずなのに……。いるよね、こういう人(笑) 自分も同人誌の編集の手伝いとかやっているけど、締め切りを必ず破る人とかおるし。でも、先輩の手も借りて、での一言で解消されたのならば、まだ、和泉はマシな方なのかな? とも……
そして、新シリーズを手掛けることとなった伊月。これまでの「妹」路線とは異なる作品に、担当の土岐も手ごたえを感じつつ、しかし、自分と共にさらなる成長はあるのか? とも思える。そんなとき、京が提案したのは……
なんか、そんな騒動があって、でのこの巻の最後の1文。いよいよ、物語が終わるんだな、というのをひしひしと感じる。最終巻は、皆のその後、とかになるのかな?

No.5264

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育休刑事

著者:似鳥鶏



県警本部捜査一回・秋月春風巡査部長。生後3か月の息子・蓮くんのため、異例の育児休業中。そんな中、息子・蓮くんを連れて訪れた質屋で、強盗事件に遭遇。しかも、それは、密室状態での殺人事件に発展してしまい……(『人質は寝返りをする』) など、全3編の連作短編集。
あれ? 著者って、育児中? とか、ちょっと思ったり……。いや、そうであっても全くおかしくない、というか、自分と同年代なので、下手すりゃ、晩婚とか言われそうな年代なのはわかっているけど……
物語としては、育児休暇中の主人公・春風が、息子である蓮を連れてお出かけ。そんなときに不可解な犯罪が発生。一旦は、その状況から解放されるものの謎のまま。そんなとき、蓮くんが起こしたふとした行動で真相を、という形で物語が進展する。
こういうと何だけど、謎そのものは、結構、シンプル。冒頭で出した1編目だと、質屋に行っている時に、強盗事件が発生。すぐさま、警察に通報し、質屋の周辺は警察が見張っていた。にもかかわらず、強盗の一人が射殺体となって発見され、もう一人は消えてしまった……。こうなると、何となく怪しい人は……って感じになってしまう。その中では、交通渋滞にはまっていたはずの車が、その時間帯になぜか別の場所で起きた殺人事件の現場に、っていう2編目が面白かったかな?
むしろ、そういうところよりも、謎そのものよりも、著者お得意の脚注という名のツッコミなどが面白かったかな? 男性が小さな子供を連れていると、妙な気を使われる、とか、ベビーカーなどは、女性の体格を基準に作られているので、空の大きな男性には使いづらい、とか、そんな文言がこれでも、と。まぁ、普段からアイロニーな言い方のそれが多い中、本作のそれは、いつも以上になっているので、人によってはちょっとくどいと感じるところもあるかも知れないけれども。
そういうところが、冒頭に書いた、著者は育児中? と感じる所以だったりする。

No.5263

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ケーキ王子の名推理4

著者:七月隆文



『パティシエ・オブ・ジャパン』優勝の複勝として、パリ研修を手にした颯人と未羽。めぐるめくスイーツ堪能、セーヌ川でのクルージングとディナーに……と思いきや、その料理を担当した天才料理人ルイ・ディシャンの登場で……
これで、シリーズ完結って感じなのかな?
タイトルに「名推理」とあるけど、あんまり謎解き要素はなく、これまで、ちょっと意識しあっていた二人が……というところがメインとなった感じ。まぁ、旅行中、突如、体調を崩した人を助けてみたり、とか、はたまた、ちょっとした謎解きイベントが行われたり、なんていうのはある。ただ、どちらかというと、トラブルを解決する、というよりも、完全にデート(笑)
そんな中で、天才料理人に打ちのめされる颯人。明らかな暴走と言えるようなスイーツを作ってみたりしつつ、一方で、大会でのことが周囲に知れ渡ったりする未羽。しかし、付き合っているのか? というような周囲の言動に対し、颯人の反応は薄い。そんな中、文化祭が行われて……
1巻の感想で、「少女漫画の序盤」というようなことを書いたのだけど、その意味でいうと、いよいよ……という感じなのだよな。
未羽と颯人が、何だかんだと言いながらも、互いに意識しあうようになって、その結果、一つの大きな成果を出したパートナーともなった。そして、その直後に訪れる挫折と、ライバル(?)の登場によるちょっかい。そんな状況の中で、煮え切らなかった男の方も自分にとって、というのを完全に意識して……。どう考えても、(ある意味では)ベタな少女漫画とかの終盤の話そのものだもの(笑)
明言はされていないけど、雰囲気としては、完全に完結編のそれ。
もし続いて、未羽と颯人のこの巻以上のイチャイチャを見せつけられたらどうしよう……(笑)

No.5262

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著者:つちせ八十八



海の国で法律の穴と、被告の墓穴を掘ることに成功したアランたち。新たなオーブを求め、次に向かうのは大海原。人魚との種族の壁に穴をあけたり、鉱夫潜水術で水中呼吸も瞬時に解決したり……
え~……とぉ……
だんだんとこの作品について感想を書くのが辛くなってきた。いや、物語としてつまらない、とか、そういうわけじゃなくて、あまりにもぶっ飛びすぎた展開が続きすぎていて、語彙力がない自分としては、どうその感想を書けばよいのかわからなくなってくる。とにかく、ひたすらに狂気!
だって、リティシア姫は、ついに「自分がスコップになるには?」とかに悩みだしてしまうし、多少、スコップに毒されていた、とはいえ、カチュアはカチュアで、自身もスコップ波動砲を出すことが出来るようになるし(カチュア自身は、認めていないけど) しかも、カチュアの剣が、気づくと、持ち手やら何やらが、剣の柄じゃなくて、スコップのような形になっていたり、とか……ツッコミは入れないよ。もう、慣れたし。ただ、スコップに毒されないように、と言いつつ、しっかりと毒されている、ということを突っ込まれたカチュアの絶望には笑わされた。
なんていうか……そんな感じなので、作中でも突っ込まれるように物語の方向性そのものが、当初は国を魔族から守る、だったのに、いつの間にかカチュアは、スコップから世界を守ろうとしていたり、とかおかしな感じになっているし……
これ、収集つくのか?

No.5261

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傲慢と善良

著者:辻村深月



婚約者の真実が失踪した。2か月前、ストーカーに追われている、という訴えから始まった同棲生活。警察にも、そのことを訴える架だったが、警察は相手にしてくれない。架は、自ら、真実を探すことにするのだが、そこで、真美の過去に向き合うことになり……
著者の作品って、友人関係、家族関係とか、そういうものに関する暗い面。逃れがたい作品、というのを題材にしたものが結構、多い印象なのだけど、本作もその系統に入る作品と言って良いと思う。そして、その中で描かれるは、親の支配。そして、「良い子」とは? と言ったところだろうか。
物語は、現在の架が、真実を探すにあたって、彼女について知る人々に話を聞く。そして、架自身が、それまでのことなどを思い出して……という形で展開していく。その中で描かれていく、真実のこれまでの日々。
親の言うことを聞く真面目な子。そんな印象で描かれる真実。しかし、それは言い換えれば、自分がなく、何もできない、ということ。親は、何でも先回りして、こうしろ、と指示。学生時代は、とにかく真面目に、恋愛だとか、そういうものはするな! というのに、社会人になれば途端に全く逆に……。さらに、その相手とか、そういうものについても、自分自身が……という以前に色々な雑音が……
これ、架自身もそう感じるように、そんなのは無理だ、という風にも思える。
これ、多分、刺さる人には無茶苦茶に刺さるんじゃないだろうか。親の干渉というか、何をするにしてもまず、周囲の評価というものがついてまわる。従えば従うほどに乖離していく、自身の望みとの違い。自分を侮る親の言葉。こちらからすれば、「そっちが望んだのではないか」という想い。そういうのを乗り越えてこそ、自立だ、と言えばそうなのかもしれない。でも、田舎育ちだったりすると、親だけじゃなく、社会そのものも、そういうプレッシャーをかけてくる、というのも事実で……。その追い込まれる状況って、自分には物凄く身近に感じられた。
まぁ、そういうキツい状況があるだけに、終盤の終わり方は、そんなにすぐに変われるものか? という部分があったりするので、ちょっと拍子抜け、という感じはするのだけど……

No.5260

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