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(書評)カラスの親指

著者:道尾秀介

カラスの親指 by rule of CROW’s thumbカラスの親指 by rule of CROW’s thumb
(2008/07/23)
道尾 秀介

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少し前に知り合った相棒・テツさんとちんけな詐欺師稼業を続ける武沢。そんな彼の心中には、かつて、闇金融に苦しめられた結果としての、いくつかの苦い思いを抱えていた。そんなある日、同じように裏稼業を続ける少女・まひろと出会い…
また騙された!! 道尾氏の作品では、毎回、こんなことを書いている気がする。ただ、これまでの作品の場合、「また騙された!! 悔しい!!」というような感じだったのだが(それはそれで、楽しいわけだが)、今回の場合「また騙された!! でも、良かった!」というような、凄く爽やかな気持ちにさせられた。
物語としては、主人公が詐欺師、そして、相手はかつての因縁の相手…ということからも察せられるように、相手を騙す「コン・ゲーム」。武沢、テツさんに、武沢と少なからぬ因縁を持つ少女・まひろ、さらに、まひろの姉・やひろと、その恋人・貫太郎が加わり、闇金融の事務所から…。いかに、騙すか、どういう風に行うか…と物語が進んでいく。何か仕掛けがあるのだろうな、と思いながらもついつい、そちらへと意識を持っていかれた。計画の決行と、その結末…そして…
言われてみれば、確かに、色々と引っかかるところはある。けれども、あまり、それを感じない。そして、その真相として明かされる「親心」。タイトルである「カラスの親指」に込められた想いとか、そういうのが明らかになって、凄く爽やかな気分になれた。それが、最初に書いた「騙された!! でも良かった」という、そういう後味につながるのである。
素直に、「面白いよ」とお勧めしたい作品。

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COMMENT 4

エビノート  2008, 10. 06 [Mon] 19:54

悔しさよりも爽快感の方が勝っていた一冊でしたよね。とても良かったです。
主人公達の仕掛ける騙しに気をとられて、伏線を見過ごしちゃってたんですが、読み返すとちゃんと書かれてる。道尾さん上手いですよね~、やっぱり。

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たこやき  2008, 10. 07 [Tue] 22:25

エビノートさんへ

これまでの道尾さんの作品では、後味の悪さの残るものも多かったのですが、これは本当に気分良く読み終わることができました。
主人公たちが「騙す側」というのも、上手く機能しているんでしょうね。その辺りも含めた「巧さ」が光っていたと思います。

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そら  2009, 03. 26 [Thu] 20:01

>素直に、「面白いよ」とお勧めしたい作品。

ですね~\(^o^)/

こういう爽やか系,私好きです(*^_^*)

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たこやき  2009, 03. 27 [Fri] 19:06

そらさんへ

本当、さわやかな後味があって良いですよね。
ひっくり返されて、でも、それがすごく良い後読感になる。こういう作品って、楽しいな、という風に思います。

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