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(書評)かのこちゃんとマドレーヌ夫人

著者:万城目学

かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (ちくまプリマー新書)かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (ちくまプリマー新書)
(2010/01/27)
万城目 学

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小学校に上がったばかりの元気な女の子、かのこちゃん。彼女は、そこで、「ふんけーの友」となるすずちゃんと出会う。そんなかのこちゃんの家に、ゲリラ豪雨の日、一匹の猫がやってくる。マドレーヌと名付けられた彼女は、かのこちゃんの家の飼い犬・玄三郎と夫婦で……
良い話だったな。
素直に、そんな言葉が出てきた。
ちくまプリマ-新書、という、どちらかというと子供向け新書レーベルから発表された本作。子供だけでなく、大人が読んでも、十分に楽しめる一作じゃないかと思う。
物語は、かのこちゃんとマドレーヌ夫人、二人(?)の視点から綴られる出会いと別れの物語。両者の間にリンクもあるし、著者の作品らしく、ちょっと不思議な出来事もあるのだけど、何よりも両者の姿が目の前にいるんじゃないかと思えるくらいに活き活きと、魅力的に描かれているのが印象的。
かのこちゃんは、小学校で、「ふんけーの友」となるすずちゃんと出会い、親友となり、やがて別れを迎える。
すずちゃんとの出会い、そして、仲良くなるきっかけは、色んな意味で衝撃的(笑) どっちかというと、きっかけとなるものは、男の子の方が好きそうな気がするけど、でも、「らしい」感じがする。二人のお茶会だとか、そういうのも、大人の目から見ると「それは違うよ」と言いたくなるところがあるのだけど、でも、感受性豊で、何者にも囚われない、好奇心一杯の年頃の様子をきっちりと描いたシーンだと思う。そんな様子のかのこちゃんを見守る周囲の大人たちkらも、暖かさを感じる。
そんな二人のお別れ。そこでは、それまでの「子供らしい」ところから、一歩進んだ形へ。約束をしたから、というのは子供らしい素直さなのかも知れないけど、でも、そうやって成長していくんだよな、というのをしみじみと思う。
一方のマドレーヌ夫人。こちらも、雨の日に、老犬である玄三郎と出会い、種は違えども「夫婦」としての日々を過ごす。
マドレーヌ夫人、なんて言われているけど、アカトラで、人間から見るとあまり美人じゃない、というような姿だけど、でも、「夫人」と呼ばれるような気品を感じさせる仕草、そして、かのこちゃんを見守る姿が印象に残る。私自身が、小学校に入る前から猫と暮らしていたのだけど、その当時の猫も、自分のことを同じように見てたんじゃないだろうか? とか、そんなことまで頭に浮かんできた。
そして、マドレーヌ夫人と玄三郎の関係も凄くほほえましい。気まぐれで、色々なところに散歩に行ったりもするけど、ちゃんと玄三郎のことを想っているマドレーヌ夫人。物静かで、どっしりと構えている玄三郎。種とか関係なく、お似合いだな、と思う。だからこそ、その別れは哀しかった。
物語は、かのこちゃんが、マドレーヌ夫人にある選択をしてもらう、というところで終わる。かのこちゃんとマドレーヌ夫人、どちらも直接的に一方のことを思っている、という描写はないけど、これもまた、相手のことをしっかりと理解しているからこその出来事なのだろうな、という風に思う。そうでなければ、こんな選択は出てこないはずだから。
マドレーヌ夫人は、どちらを選択したのだろう? そして、その後、かのこちゃん、マドレーヌ夫人、二人(?)はどうしたのだろう?
そんなことを思い浮かべながら、ページを閉じた。

No.2523

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COMMENT 6

苗坊  2011, 05. 04 [Wed] 23:36

こんばんは^^
私も良い話を読めてよかったなと思いました。
本当に、心が温まるお話でした。
かのこちゃんはたまに難しい言葉を使いますけど、年相応の可愛い女の子でした。
すずちゃんとのふんけーの友話はただただ可愛かったです。
マドレーヌ夫人と玄三郎の夫婦関係もとても素敵で、あの阿吽の呼吸がとっても良いなと思いました。
それぞれ悲しい別れがありましたけど、かのこちゃんはそれを糧にちょっと大人になった気がします^^

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たこやき  2011, 05. 05 [Thu] 20:14

苗坊さんへ

こんばんは。
何よりも、「良い話だったな」という感じです。

かのこちゃんの、「難しい言葉を使う」というのは、それ自体が、知ったばかりの言葉を使いたがる、好奇心旺盛な年頃の象徴になっているように思いました。
本当に、「かわいらしい」と思います。
そして、最後のすずちゃんとの別れも含め、色々なところで、彼女が成長しているな、と思いました。

マドレーヌ夫人と玄三郎も凄く良かったですし。

ちょっと哀しいこともあるけど、爽やかで、心あたたまる。
そんな、素晴らしい作品だと思いました。

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そら  2011, 05. 05 [Thu] 20:39

うんうん♪

ホント,「良いお話を読んだな」という満足感がありましたね~(*^_^*)

>かのこちゃんの、「難しい言葉を使う」というのは、それ自体が、知ったばかりの言葉を使いたがる、好奇心旺盛な年頃の象徴になっているように思いました。

ホントにそうですね♪
かのこちゃん,かわいかった。

この世界,とっても好きでした(*^_^*)

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たこやき  2011, 05. 05 [Thu] 21:02

そらさんへ

こんばんは~。
苗坊さんへのレスとも重なるのですが、良い話だったな、という満足感を得ました。

>ホントにそうですね♪
>かのこちゃん,かわいかった。

最近、私の親戚がベビーブーム(?)で、帰省するたびに親戚の子供の相手をしているのですが、そういう中で強く感じました。
万城目さん自身が、巻末の謝辞で小学校に取材に行った、と書かれていますけど、そういう取材などを通して感じたのだろうな、ということを思いました。

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じゅん  2011, 05. 06 [Fri] 12:17

どうもー

そうですね、ホントイイ話でしたよね~

前半は、何も起こらないほのぼのモノかと思ってましたが、
万城目さんらしい仕掛けと、ほのぼのだけでない感じが、
いいな~と思った記憶あります。

こういう雰囲気とか、
いや、もっとガラッと作風を変えた万城目さんを読んでみたい、今日この頃です。

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たこやき  2011, 05. 06 [Fri] 20:07

じゅんさんへ

こんばんは。
ほのぼのとしているのは間違いないのですが、万城目さんらしい仕掛けがあったり、ちょっと哀しい別れがあったり、と、しっかりとしたテーマ、物語性があり、読み終わって大満足でした。

>こういう雰囲気とか、
>いや、もっとガラッと作風を変えた万城目さんを読んでみたい
『偉大なるしゅららぼん』は未読ですが、路線としては『鴨川ホルモー』とかに近いんですね(滋賀、というのを見て、そう感じました) これはこれで好きですけど、確かに、別路線の作品というのも読んでみたいです。
例えば、サスペンスとか(いや、無理か……)

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