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(書評)さよなら、そしてこんにちは

著者:荻原浩

さよなら、そしてこんにちはさよなら、そしてこんにちは
(2007/10/20)
荻原 浩

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表題作を含む7作を収録した短編集。
荻原さんの作品、特に初期の作品は、人々のちょっとした様子をおかしく、けれどもちょっとほろ苦かったり、ほっとできたり、そんな様子をうまく描いた作品が多くあるように思う。本作に収録された7編は、そんな荻原さんの作品の魅力が十分に詰まっているように感じる。
葬儀社に勤める陽介の日々を描いた表題作『さよなら、そしてこんにちは』。葬儀社の人間にとって、葬儀は業務。だから、不謹慎ながらも笑いがこみ上げてしまうこともある。反対に、感情移入してしまうこともある。でも、それを押し殺さなければならない。そうはわかっていても…。そんな様子がユーモラスに描かれる。
『ビューティフルライフ』と『スローライフ』は、ある意味、対とも言える物語。ある日、農業を思い立って田舎へと引っ越した朝岡家を描いた『ビューティフルライフ』。「スローフード」ブームに振り回される料理研究家を描いた『スローライフ』。どちらも「スローフード」「スローライフ」なんて言ったものが題材になっているわけだけど、それを実践するのは難しい。そして、言っている本人も言葉に振り回されてしまう。そんな様子がコミカルに描かれる。
『あるある大辞典』や『思いっきりテレビ』など健康番組を題材にした『スーパーマンの憂鬱』。振り回されるのは消費者だけではない。うさんくさいところがあっても、正しいとは言えなくとも…それが生活の糧になっている以上、振り回されざるを得ない。そんな様子が描かれているのだが、オチの一言が何とも印象的。確かに、そうかも、とニヤリとした。
全体を通してそんな感じの作品が多いのだが、最後に収録された『長福寺のメリークリスマス』のおかげで、何とも気分の良い後読感を得ることができた。坊主だって、人間だ。感情だってあるし、他の宗教のお祝いだってしてみたい。でも、良いじゃないか。そんなメッセージが、他の編の人々に対するメッセージにも思える。作品集の締めとしても、ふさわしい。
一編一編は決して派手とは言えない。全体的には地味と言えるかも知れない。でも、とても味わい深い作品集だと思う。

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COMMENT 2

そら  2009, 02. 10 [Tue] 20:11

ご,ごめん。
自分のところのコメントだけして,たこやきさんとこにTBしてないことに今,気がついた(>_<)
って,随分遅いよね~。
半年遅れだ(^^;)

>本作に収録された7編は、そんな荻原さんの作品の魅力が十分に詰まっているように感じる。

うんうん。荻原さんって,こういう作品の長編がいいのになぁなんて思った…ような気がします(*^_^*)

Edit | Reply | 

たこやき  2009, 02. 11 [Wed] 21:00

そらさんへ

いえいえ、気になさらないでください(笑)

>荻原さんって,こういう作品の長編がいいのになぁなんて思った…ような気がします(*^_^*)

初期の頃の、軽い気持ちで読める作品のテイストを久々に読んだな、という風に思います。
『明日の記憶』とか、深刻に考えさせられるもの良いですけど、たまには、こういう長編も読んでみたいです。

Edit | Reply | 

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