著者:五條瑛
名古屋から、実家のある東京へ戻り、新たな生活を始めた和久田。甥たちの成長を喜ぶ彼には、一つの後悔が。甥や、その妻を虐待し、そして、7年前に失踪した兄の暴走を止められなかったこと。そして、そんなとき、兄宛のFAXが届いたことから…
うーん…
五條氏の作品というと、スパイなどの暗躍する諜報モノ、というイメージが強いが、本作の場合、諜報モノとはちょっと異なった作品。
シェイクスピアの戯曲・ハムレットに登場するヨリック、オズリック…。その名を廃したものたちに託された、かつての政界の大物の残したもの。それを求める各勢力…。誰がヨリックなのか? その遺された者は一体何なのか? そして、和久田が兄に対する想い…。諜報モノではないのだが、相変わらず、各勢力が入り乱れながら、進んでいく展開は面白い。
…が、読み終わってみると、色々な物が投げっぱなしにされているように思えてならない。兄の行動の謎の一端こそ判明するけど、それで許されるのか? という疑問は残るし、また、その周囲のものについても、「こうだ」と言われてそれだけ…さらに、肝心なところもぼやかされたまま…。なんか、もやもやとしたまま終わってしまった感じがする。
話を広げるまでが非常に面白かっただけに、上手くたためなかったように感じたのが残念。
通算1399冊目
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