著者:森田季節
「女の子を殺したんだ」 クラスの中でも目立たない少年・神野の口から出たのは、一人の少女との出会い、音楽を通じた交流、そして…というもの。そして、同じようなことは、相談を受けた少女・明海にも…
「イケニエビト」 常に「タマシイビト」によって命を狙われている存在。殺されたとしても、数年後に生き返ることができる。けれども、その存在は忘れられてしまう。殺した本人をのぞいては…
「タマシイビト」 「イケニエビト」に関する記憶を好物としている。そのため、イケニエビトが活動し、ある程度、周囲に認知されると動きだし、イケニエビトを狙う。そして、実に狡猾な存在…。
最初は、神野、明海の思い出話。二人はそれぞれ、「イケニエビト」との交流があり、「殺した」経験を持っていた。そして、その「殺した」少女が同じであることに気づき、二人で…。生き返っても、3人の関係を始める。けれども、そこには常に「タマシイビト」への恐怖、そして、記憶が失われるのではないか、という恐怖が存在する。そして…
何かの条件によって、その存在が無くなる、という物語は決して珍しいわけではないと思う。ただ、こういう物語の場合、多くは「全てをなくす」とか、そういうものが殆ど。けれども、この場合、「殺した者は残る」という条件がつく。そして、その記憶をなくさないための、存在を残すための戦い…。どこかで見たことがあるような設定だけど、そういうちょっとした工夫、そして、それ故に残酷さ、というのがまず印象的だった。
この「残酷さ」って、色々なところにあると思う。先の「記憶がなくなる」云々もそうだし、また、明海の物語の中にある「子供らしさ」もそう、さらに、狡猾なタマシイビトのやり方…それらが皆、「残酷」と感じる…。
最後の「タマシイビト」とのやりとりのところがちょっと引っかかった、っていうのはあるのだけど、全体的に見れば、かなり面白かったと感じる。
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テーマ : ブックレビュー - ジャンル : 小説・文学
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