(書評)ジウ 警視庁特殊犯捜査係

著者:誉田哲也

ジウ―警視庁特殊犯捜査係 (C・NOVELS)ジウ―警視庁特殊犯捜査係 (C・NOVELS)
(2005/12)
誉田 哲也

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都内で起きた籠城事件。現場作戦活動を担当するSITは、長引く事件の中、差し入れ役に門倉美咲巡査を送る。彼女が人質になり、同僚・伊崎基子巡査が突入の準備をすすめたとき…。
誉田氏の作品の中でも評価の高いシリーズ、ということで、手に取った本作。読んでいて、「おや?」というのが、まず第一。タイトルでは、「警視庁特殊犯捜査係」とある。しかし、本作の中で、そこが活躍する場面は殆ど無い。
物語の主人公は二人の巡査。門倉美咲巡査。特殊係の中で「カンヌ」と呼ばれる交渉の専門家。繊細な心を持ち、その繊細さで説得に当たる。もう一人が、伊崎基子巡査。レスリング、柔道で活躍し、男勝りの力と気性を持つ。繊細さを持つ美咲に対して、あまり良い感情を抱いていない。そんな二人の姿が描かれるわけだが、冒頭の籠城事件を契機にした、その二人が、別の部署へと異動するため、SITとしての活躍はあまりない。代わりに、男社会である警察組織の中での二人の奮闘などがメインになると同時に、二人の人物像というのが、これでもか、と描かれるわけであるが。
籠城事件によって端緒が開かれた犯人を取り逃した誘拐事件。そこで語られる、国籍を持たない中心人物・ジウ。語られる過去の物語、現在の生活の一部…しかし、そこから出てくるのは謎だけ。そして、発見された潜伏先。しかし…。
メインとなる物語としては…一段落となってはいるが、あくまでも「導入編」という印象。とにかく、過去の物語として語られるだけで、現在が何も見えてこない、という辺りに巧さを感じる。これでもか、と語られる美咲、基子という二人の主人公の「現在」と、非常に対照的。と、同時に、物語に大きな意味を持つある人物を、この段階で退場させてしまう、というのも驚いたわけだが。
とにかく、あとが気になる。この段階で感じるのは、何よりも、そのこと。2巻、3巻を楽しみにしたいと思う。

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COMMENT 2

そら  2010, 01. 10 [Sun] 21:23

>あくまでも「導入編」という印象。

ですよね~。
まぁ,ここから先の物語へ,どれだけ関心を惹きつけることができるか…という部分では,なかなかいい出だしだったのかも。

とはいえ,

>物語に大きな意味を持つある人物を、この段階で退場させてしまうというのも驚いた

私もびっくりしました。いや~~,それはいかんだろー(-.-)って気になり,何だか読む手が止まってしまった…という感じ(^^;)


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たこやき  2010, 01. 12 [Tue] 21:12

そらさんへ

こんばんは~。
三部作の導入編、としては、上手いな~……という風に思いました。
まあ、

>それはいかんだろー(-.-)って気になり,何だか読む手が止まってしまった

という気になった部分がない、といえば嘘になるのですが(^^;)
ただ、このときは、ある意味、容赦なく、そういうのを切り捨てて、次巻へとつなげる、という形のセンスに脱帽しました。

……シリーズ全体を通しては、多少、引っかかるところを感じた作品ですが(苦笑)

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