(書評)めぐり会い

著者:岸田るり子

めぐり会いめぐり会い
(2008/05/16)
岸田 るり子

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見合い結婚をしたものの、夫・昭義には別の思い人が…。ただ、血筋だけ、形だけの結婚に悩む華美。そんなとき、ひょんなことから、自分のデジカメが同じ型の別のものと入れ替わってしまう。そして、そのデータに残る少年に心を惹かれていく…。
これまで読んだ岸田さんの作品の中では、もっとも読後が爽やかだったかも知れない。物語は、冒頭にも書いた華美と、スランプに陥った歌手・祐、二つの視点が交互に交わる形で展開する。
キーワードとしては、「執着」ということになるのだろうか? 弁護士一家に生まれながら、マイペースでその道に進まず、ただ、流されるように結婚した華美。けれども、夫の心は最初から自分にはない。恋なども、殆ど無かった彼女が、初めてもった感情と執着の相手は、データの中の少年。そして、そんな少年について調べるうちに、その少年の周囲にある不穏な空気…。
一方で、暴力的な父の虐待から逃れ、歌手として一世を風靡した祐。しかし、ある事件をきっかけに、それもままならなくなる。女性と次々と関係を持ちながらも執着を抱けなかった彼。そんな彼にストーカーのようにつきまとい、事件を起こす女…。
そんな二人の人物の「執着」に関する部分。さらに、その周囲にある、やはり執着心の織りなすドロドロとした展開というのは、これまでの作品とも共通するものがある。そして、この二つの物語が、どういう関係なのか? についても、当然、色々と心を巡らすことになるわけだが…。
騙される、というか、終わってみて、まず感じるのは、パズルの最後1ピースが上手くはまった、というような安心感。色々と想像をしながら読み、捻って考えて、これは違うだろう…だとすると…なんて考えながら読んだものが、しっかりとはまってパズルが完成したようなそんな印象を受けた。そして、その結果の終わり方が非常に気持ちの良いものだった。
岸田さんの作品としては、比較的マイルドなところもあるし、初めて読む方にも安心して勧められる作品ではないかと思う。

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