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(書評)狐火の家

著者:貴志祐介

狐火の家狐火の家
(2008/03)
貴志 祐介

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長野の山村で起きた殺人事件。殺害されたのは、中学生の少女・西野愛美。第一発見者であり、父親の真之が重要参考人として、警察に留置されるものの心証としては極めて白に近い。様々な状況から、家出した息子・猛の犯行との見方が強まるのだが、近くで農作業していた隣人は、誰も出入りした者がいない、と証言し…『狐火の家』など、弁護士・青砥純子と防犯アドバイザー・榎本を主役とした4編を収録した短編集。
作品としては、『硝子のハンマー』のシリーズ作、ということになる。前作同様、本作も純粋なミステリー作品であり、また、全編が密室事件という念の入れよう。また、様々な仮説を組み立てては、崩れて…を繰り返しながら、真相に迫る、というような形も踏襲している。
個人的には、前作より、本作の方が好き。
前作と比較しtえ、何が良いか、と言われれば答えは簡単。「テンポが良くなった」という点。前作の場合、仮説を立てて、崩して…という組み合わせが実に丁寧ではあるのだが、一方で、それが丁寧すぎて、やや冗長と感じるきらいがあった。本作でも、仮説から、という部分は同じなのだが、事件そのものが、短編らしくコンパクトで、切れ味があるように思う。また、表題作である『狐火の家』の、何とも言えない後味なども個人的に好き。
『黒い牙』『盤端の迷宮』は、それぞれ、純子、榎本の趣味とか、人間性が垣間見れる。多少、強引さを感じるトリックではあるのだが、それぞれのキャラクターの別の顔が見えたのが楽しかった。そして、最後の『犬のみぞ知る Dog knows』は…遊びすぎでしょ(笑) ミステリーとして、というよりも、ある種の悪ノリといえるような物語に大笑いしてしまった。
私の場合、「ホラー作家としての」著者を知らないので、そちらのファンの方がどう思うのか? というのはわからない。ただ、本格短編ミステリとして、なかなか良い出来の作品ではないかと思う。

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COMMENT 2

そら  2010, 05. 30 [Sun] 23:00

たこやきさん,こんばんはっ♪

テンポかぁ。
確かにテンポはよかった…ような…気がする(笑)
最後の『犬のみぞ知る』は,
私,ケロッと忘れてしまったので,
もう一度読んでみようかなぁと思いました。
そんなに遊んでた?(=^▽^=)
気になるわ~。

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たこやき  2010, 06. 02 [Wed] 22:48

そらさんへ

こんばんは。
テンポについては、多分、『硝子のハンマー』と比較して、っていうのもあります。
ここまで、と思うくらいに、徹底的に仮説を立てては崩して……だったので。

>最後の『犬のみぞ知る』は,
>そんなに遊んでた?(=^▽^=)

は、かなり遊んでいたと思いますよ。
完全にギャグの世界に入っていましたし。どちらかというと、そちらの印象の方が強く残っています。

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