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(書評)暴走する脳科学 哲学・倫理学からの批判的検討

著者:河野哲也

暴走する脳科学 (光文社新書)暴走する脳科学 (光文社新書)
(2008/11/14)
河野哲也

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『暴走する脳科学』というタイトルであるが、本書の中身を鑑みるなら、副題を含めて、「脳科学・研究に対する哲学・倫理学からの批判的検討」ということになる。私が、「ゲーム脳」とか、あの辺りに対して書いているような文章が並んでいるわけではない(無論、関係がないわけではないのだが)
本書の中身は、哲学・倫理学における「心」というものに関する議論から「脳=心」というものが正しいのか? ということから始まって、PETやfMREなどの技術により、人の心を「読む」ことができるのか? それをすることの問題点。さらに、脳科学におけるカテゴリと、社会、環境というものの関わりに、それを社会一般へ還元することについての問題…というような形で話を進めていく。
本書で書かれていることは、基本的には哲学の分野の議論であるが、その議論から、脳科学の様々な実験やその技術の展開などについて考えると、様々な疑問点、恣意性、解釈…というようなものが浮かび上がってくることがわかる。本書は、様々な分野について語っているわけだが、それぞれの分野について詳細に議論すれば、さらに多くなることだろう。
私自身は、哲学の分野は大の苦手で詳しいとは言えない。著者の考え方が入り込んでいる部分も多いので、そこで扱われる見方そのものにも、別の解釈が出来る部分はあると思う。ただ、そうであっても、脳に纏わる研究などについて見聞きするに当たって、一つの指針となるのではないかと思う。

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