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(書評)I’m sorry, mama.

著者:桐野夏生

I’m sorry,mama. (集英社文庫)I’m sorry,mama. (集英社文庫)
(2007/11)
桐野 夏生

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児童福祉施設で生まれ育ったアイ子。孤独をも甘受し、金に汚く、そのためにならば、何でもする女。そんな彼女の目的は? 彼女は何者なのか?
物語の中心にいるのは、松島アイ子という女性。売春宿で生まれ、誰が親なのかもわからず、戸籍すら持たなかった少女。児童福祉施設でも孤立し、そこを出た後も、行く先で次々と事件を起こしていく。中年になった、この女性はまだ…。
すごいな…。とにかく、これだけ誰にも感情移入が出来ない作品も珍しい。
上にちょっと書いたように、アイ子自身がとにかく、人間として醜悪な者をすべて詰め合わせたかのような存在。アイ子の視点で、そうではない人の視点で、次々と物語が綴られるのだが、アイ子自身の視点そのもの描かれる感情も、ひたすらに「醜い」という一言。だが、その一方で、周囲の人間もまた「醜い」。社会的な成功者をねたみ、そこから、どれだけ金をむしり取ってやろうか? どう金を手に入れるか、のみのアイ子と、成功者であろうと、普通の存在でありながら、やはりエゴを爆発させる人々…。そんな「醜い」感情ばかりを綴って物語が進んでいく。読んでていて、楽しい気分になれる作品ではない。
「醜い」感情、エゴイズムを描く作品、というと、個人的には新堂冬樹氏の作品などを思い出すのだが、本書の主人公・アイ子の場合、何とも「小物」感があるのも特徴。とにかく、即物的で、一つ一つがみみっちく、だからこそ、「醜い」と感じる。そんな「負のパワー」の権化のように感じさせる人物。それが故に、印象に残るのだろうが。
そんなアイ子の突き進む先に見えた、出生の秘密と、それを目の当たりにした態度。そして、結末…。ある意味では、想像通り、という形。やはり、こうなってしまうのだろう…。
文庫で250頁あまり。決して長い作品ではないのだが、読んでいて、くたびれた。

通算1516冊目

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COMMENT 2

Roko  2009, 01. 10 [Sat] 23:53

たこやきさん☆こんばんは
アイ子みたいな嫌な女って結構いますね。
学生時代の友達にも、会社にもいるんです。
できるだけ関らないようにしてますよ、そういう人の「負のパワー」が怖いですもの。(-_-;)

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たこやき  2009, 01. 11 [Sun] 19:38

Rokoさんへ

こんばんは。
ここまでどこからどこまでも、というのはないにしろ、要素要素では、「こういう人いるな」というのは、感じました。

でも、アイ子のレベルまで行っていた人の場合、なるべく…というしかないでしょうね(^^;)
それと、自分もそうならないように、という風に気をつけないと…というのも感じました。

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