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(書評)朝日のようにさわやかに

著者:恩田陸

朝日のようにさわやかに朝日のようにさわやかに
(2007/03)
恩田 陸

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表題作を含む全14作を収録した短編集。
『図書室の海』以来の短編集として刊行されたらしいが、そちらは個人的に「短編集」というよりも、「予告編集」という印象で、著者の純粋な短編集を初めて読んだような気分になった(『象と耳鳴り』『光の帝国』は、連作短編集であるし)
まず、確認したいのは、本短編集のタイトル。それは『朝日のようにさわやかに』。
…もう一度、確認しよう。本書のタイトルは、『朝日のようにさわやかに』。
……何である……。
全くさわやかじゃねぇ!!! と思ったのは私だけではないはず(と、信じたい)。本書に収録された作品、巻末に著者による解説もあるのだが、ホラー関連のアンソロジー本などに載ったものが多く、また、そうでないものにしても、かなり後味の悪い作品が多い。
最初に収録された『麦の海に沈む果実』のその後を描いた『水晶の夜、翡翠の朝』は、理瀬の去った学園に広まる遊びと、不可解な事件の真相を探るミステリであるが、その謎解きよりも、真相を知ったあとのヨハンの「処理」の印象が強く残る。そして、そのジャブを受けての『ご案内』。わずか3頁のショートショートながら、ずどんと落としてくれる。他にも、『深夜の食欲』『卒業』なども、後味は悪い。
また、ホラーではないものの、会話だけのミステリ『あなたと夜と音楽と』『おはなしのつづき』辺りも、読み終わって、明るい気分になるものとは言い難い。
後味の良さ、という意味では『楽園を追われて』辺りか。著者自身が「普通の話」と述べる作品だが、逆にこの短編集にあって、この作品の「救い」は貴重なように思う。そういう変遷を経て、最後の一編『朝日のようにさわやかに』。とりとめのない話の飛び方をしながら、最後にしっかりと着地する構成力は、著者ならでは。そして、この結末は、この作品集の締めにふさわしい、という風に感じる。
最初にも書いたように、ちょっとホラー色が強すぎるかな? という風に感じるところはあるものの、著者の発想力とか、そういうものを随所に感じることのできる短編集に仕上がっているのではないかと思う。

通算1519冊目

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COMMENT 2

そら  2009, 01. 14 [Wed] 13:55

なるほど,構成力かぁ。
私は,ただバラバラなものを寄せ集めた…ぐらいの印象しか残ってなかった(^^;)

>とりとめのない話の飛び方をしながら、最後にしっかりと着地する

そうだったのかぁ!と思ったのでした。

恩田さんの着想力…うんうん,改めてすごいなぁと思いました。あと,その場の空気を感じさせる文章力とかね。



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たこやき  2009, 01. 15 [Thu] 19:17

そらさんへ

いえ、作品それぞれは、やっぱり、バラバラだったと思います。

でも、本当、着想力と、読んでいてそこに感じる臨場感のようなものはすごいですよね。
いくつかは、『図書室の海』のときのように、「予告編」として書かれたものもあるようですし、長編として期待したい、っていうのも感じました。

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