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(書評)聖女の救済

著者:東野圭吾

聖女の救済聖女の救済
(2008/10/23)
東野 圭吾

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IT企業社長である真柴義孝が毒殺された。発見したのは、義孝の不倫相手である宏美。そして、義孝の妻・綾音は、北海道の実家へと帰省中であった。事件を捜査する刑事・内海薫は、妻・綾音を疑い、物理学者・湯川への協力を仰ぐ。一方、草薙は、綾音に惹かれていき…
ガリレオシリーズの第4作というか、第5作というか…。『ガリレオの苦悩』と、同時に刊行されているだけに…どっちなのだろう?(笑)
物語そのものとしては、『容疑者Xの献身』同様、妻・綾音が犯人である…ということは、読者に示された格好で展開する。無論、その中で、トリックは何なのか? というものがあるにせよ。
物語としては、そのトリック以上に、草薙と薫、二人の刑事のやりとりが興味深い。容疑者である綾音に対して、惹かれていく草薙。私情を挟むな、という鉄則を持ちながらも、どうしても惹かれてしまう。そして、綾音が疑わしいという薫と対立してしまう。そして、薫の側は、心情的に怪しいと思いながらも、その鉄壁のアリバイに苦悩する。容疑者に惹かれる、という状況でありながら、妥当性そのものはしっかりある行動を取る草薙と、第三者的な視点で容疑者を観察しながらも崩せない薫。両者の置かれた状況の対比が何よりも、この物語の面白さを形作っているように思える。
そして、やはりトリック。湯川が「虚数解」と称したトリックは、やはり、ただ事ではない。毒の混入ルートという、地味なものでありながら、そこに集約していく辺りは流石。そして、文字通りに「常識外」であることも…。
ただ、個人的には、もう少し、義孝、綾音らの人物像をもう少し掘り下げて欲しかった、という部分がある。正直、本作だけを読んでいると、その動機、そして、トリックを実行するだけのパワーが沸くのか? という疑問が沸いてしまう。ハッキリ言えば、義孝、ただの「嫌な奴」じゃん、ってこと(笑) そこまで根気のいる作業をしてまで…と思えてしまうのだ。そこだけが引っかかった。
とは言え、完成度は非常に高い作品。「流石」の一言。

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COMMENT 4

エビノート  2009, 03. 22 [Sun] 21:42

容疑者に対して対照的に向き合う姿勢。
内海が登場したからこそ描けた部分でしょうね~。
容疑者に惹かれる草薙にはハラハラしましたが、刑事としてのあり方を踏みはずさないところはさすがとおもいました。

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たこやき  2009, 03. 22 [Sun] 22:48

エビノートさんへ

こんばんは~。
『容疑者Xの献身』では、石神と湯川の対決、という形でしたが、今回は、容疑者を挟んで、二人の刑事が別の側面から追い、そして、ぶつかる、という構図が印象的でした。ドラマは見ていないのですが、内海がいてこそ、ですね。
草薙刑事にしても、心を動かされながらも、しかし、そのすべきことをわきまえた行動に好感を抱きました。

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そら  2010, 11. 11 [Thu] 18:53

>ハッキリ言えば、義孝、ただの「嫌な奴」じゃん、ってこと(笑) そこまで根気のいる作業をしてまで…と思えてしまうのだ

そうなんですよね~。
私も,そこに引っかかりました。

自分のブログに書き忘れたけど(^^;)
草薙と内海の上司,
広い視野を持った「できる」方だと思いました
(*^_^*)

Edit | Reply | 

たこやき  2010, 11. 14 [Sun] 23:26

そらさんへ

>そうなんですよね~。
>私も,そこに引っかかりました。

常識的に考えて、あり得ないことをしているだけに、それを行うパワーが沸かないといけないと思うのですが、そこまでの魅力を感じないところが唯一の欠点だな、と思います。
そこがあれば、と思うんですけどね。

>草薙と内海の上司,
>広い視野を持った「できる」方だと思いました

言われてみると、そうですよね。
もともと、草薙が湯川のところに行くのも許していたわけですし、視野の広さと柔軟性がありますよね。

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