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(書評)熱氷

著者:五條瑛

熱氷 (講談社文庫)熱氷 (講談社文庫)
(2005/08/12)
五條 瑛

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カナダの地で氷山ハンターをする石澤恒星の元に届いたのは、姉弟同然に育った朱音の訃報だった。帰国した彼を待っていたのは、姉の忘れ形見・光晴。しかし、その光晴が、誘拐され、解放の条件として…
五條さんの作品というと、スパイ、謀略というようなイメージがあるのだけど、本作に関しては結構、「ストレートな」ハードボイルド作品というような感じがする。
とにかく、それぞれが過去に対して、「想い」を抱えている。実の姉同然に朱音のことを想い、その息子・光晴を守るために犯罪を犯すこともいとわない恒星。その朱音の夫であり、恒星に狙撃を支持する佐々木。その佐々木の背後にいる存在。さらには、恒星の標的となる首相と、その周囲にあるそれぞれの思惑…。首相を狙撃する、というものが中心ではあるものの、それぞれが過去に対して思惑を持っていて、印象としては、謀略作品という印象よりも、ハードボイルド作品という印象が強くなるのだ。
それぞれのキャラクターも、ある意味では、それを強く感じさせる所以かも知れない。まっすぐで熱いけど、不器用な恒星。その恒星に協力するお節介な武器屋のスワローとグースの兄妹。人を食った印象のある滑川に、諦観のある殺し屋・野村。それぞれが、熱いものを抱えていているのだけど、どこか、人間くさいところを感じて親近感が感じられた。
鉱物シリーズ、革命シリーズなどを初めとして、五條さんの作品の中では、比較的、スケール感は感じられないのだが、その分、しっかりとまとまった佳作であると思う。

No.1661

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COMMENT 2

そら  2009, 05. 12 [Tue] 18:03

>本作に関しては結構、「ストレートな」ハードボイルド作品というような感じがする。

そうか。だから私,好きだったのかも。
あんまり難しくないほうが好みなのよね~(*^_^*)

>しっかりとまとまった佳作であると思う。

たこやきさんに褒めてもらって,ちょっとうれしい(←すっかり自分の子扱いしている私^^;)




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たこやき  2009, 05. 15 [Fri] 20:11

そらさんへ

スケール感は多少、小さいかも知れないですが、それぞれの登場人物が、生き生きとして良かったです。
しっかりとまとめられていますし、素直なハードボイルド作品として楽しめました。

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  •  「熱氷」五條瑛
  • 初・五條瑛作品です。 おもしろかった!五條さん、いい!です。 ★★★★☆ 姉弟として育てられた朱音の突然の訃報を、氷山ハンター石沢...
  • 2009.05.12 (Tue) 17:56 | 日だまりで読書