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(書評)巷説百物語

著者:京極夏彦

巷説百物語 (角川文庫)巷説百物語 (角川文庫)
(2003/06)
京極 夏彦

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怪異譚を求めて、諸国を放浪する戯作者志望の山岡百介。そんな彼が、雨宿りに立ち寄った山小屋で出会った者たち。その夜を、百物語で明かそう、ということになり…
既に、京極堂シリーズと並ぶ、京極氏の代表的なシリーズとなっている百物語シリーズの第1作。
第2次大戦終結後を舞台とした京極堂シリーズに対し、元禄時代を舞台とした物語(ちなみに、作中には、『嗤う伊右衛門』に登場する又市も登場する)
このような形で感想を書き始めたには勿論、理由があって、この作品、京極堂シリーズと対照的な部分が多いという風に感じるのだ。戦争の傷跡がまだ癒えきっていないとは言え、科学が発達している時代を舞台にし、最初は信じていないのが「妖怪の仕業?」という状況へ陥っていく京極堂シリーズ。一方、本作の場合、ある程度、そのような怪異の存在を信じている人々の時代。そこで起きたトラブルに顔をだし、怪異の存在を作り上げてその始末を付けていく者たち…。科学的なものがあるにも関わらず、そこに反する世界へと行く物語と、科学のない時代に、合理主義を貫く物語という対称性が非常に印象に残るのだ。
とにかく、それぞれの物語での、「仕掛け」も面白い。トラブル解決といっても、決してそれは平和な解決ばかりではない。むしろ、非道な方法をとってでもあぶり出す、というものも。そんなやり方を緻密に、そして、極めて大胆に作り上げていく又市たちの策略は容赦ない。そして、そんなやり方をしてあぶり出される、その人間の業の深さ…この辺りは、対照的な展開と言った京極堂シリーズと同じか…。
いまいち、又市たちと百介の関係がよくわからなかったのだが、話としては非常に面白かった。なるほど、代表的なシリーズとなるわけだ。

No.1716

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