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(書評)オオカミ少女はいなかった 心理学の神話をめぐる冒険

著者:鈴木光太郎

オオカミ少女はいなかった 心理学の神話をめぐる冒険オオカミ少女はいなかった 心理学の神話をめぐる冒険
(2008/10/03)
鈴木 光太郎

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オオカミ少女、サブリミナル効果、クレヴァー・ハンス…心理学の世界には、科学的に否定されても既成事実のように何度もよみがえる「神話」が存在する。教科書などに載っていることもあるそれらは、どういうもので、どうおかしいのか? そして、それらは、どのように出来たのか? を検証する。
このように書くと、まるで、それぞれの「神話」は、間違いですよ、とあら探しをして否定するだけの本のように思われるかも知れない。勿論、そういう面がないわけではない。
それぞれの章でまことしやかに言われる「神話」を検証し、そのおかしな部分を指摘している、というのがあるわけだから。ただ、この書籍は、そういう形をとりながら、付属的に、様々なメッセージを与えてくれているように思う。
例えば、ある実験について書かれた原典を検証し、その中で、こういう実験をした。その結果、こういう結果が出て、こう結論づけた。となる。しかし、それでは、こういうことも考えられる。こういう問題点がある、というような形で記される。その後、こういう実験により、否定された、などとも。それを読むことで、読者の側は、それを回避する方法などについても考察することになる。逆説的ではあるが、心理学研究、実験の方法論を語った書とも言えるのだろう。
また、その中で繰り返し訴えられる「原典を当たる」ことの重要さについても、その通りであると思う。
ただ、(いくつかについては、確かめようがないとは言え)仮定の積み重ねによる憶測止まりの部分があったりとか、著者自身の語る話の中にも疑問点が残るところは存在している。その辺りは気になる。ただ、そういうところを批判的に読む、というのは、著者の意図しているところなのかも知れないが。
この書の内容そのものも、決して、鵜呑みにしてはいけないのだろう。それは、読んでいて感じたところではある。ただ、そういう面も含めて、考え方、見方などを広めるための役割は十分に果たしているのではないかと思う。

No.1727

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