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(書評)天神のとなり

著者:五條瑛

天神のとなり天神のとなり
(2008/09/20)
五條瑛

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地域を取り仕切っていた墨田連合が分裂し、天藤会、久栄興業、新生墨田連合が争うようになった錦糸町。トラブルで大学を追われた元准教授・鏑木は、その天藤会の幹部・白樺に拾われ、調査やトラブル処理に走らされる日々。そんな鏑木の姿を描いた連作短編集。
あれ? こじんまりとしている、というか、五條さんの作品のタイプとしては珍しい形だな、というのがまず思ったこと。
物語は、最初に書いたように、ヤクザの使いっ走りとなった元学者の鏑木が、命じられるままにトラブルの調査やら何やらを、という話。ただ、「使いっぱなし」と言いながら、命令に逆らえずに…というタイプではなく、命令を出してくる白樺に対して皮肉たっぷりに反論やら何やらをしてみたり、はたまた、場合によっては白樺を出し抜いてトラブルを勝手に処理してしまったり、と結構、好き勝手にやっている。なんか、作品の雰囲気としては、五條さんの作品では『冬に来た依頼人』など、桜庭探偵のシリーズとか、ヤクザ絡みの探偵という意味で『恋する組長』(笹本稜平著)とか、そういう作品に似ているような印象を受けた。
この作品、何が良いのか、といえば、やっぱり、登場人物たちのやりとりじゃないかと思う。鏑木と白樺の飼い主と飼われている身とは思えない関係。鏑木のことを慕って、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる京二とのやりとり。ある意味、色々とあきらめているように見えながら、結構、そういうやりとりに生き生きとした様子を見せ、ここ一番では結構、危ない橋を渡るようなマネもする鏑木が、意外と前向きにも見えて、不思議と魅力的。物語自体も、そこまで派手な展開でない分、そういうのがすっきりと入ってくるように思う。
一応、鏑木の転落の顛末だとかも描かれてはいるものの、もうちょっとその時代について踏み込んだ場所があっても面白かったかな? と思うところは少しある。何の学者だったのか? とか、そういうのがちょっと気になったし、ついでに、元学者としては随分と調査能力やら度胸やらがあるなぁ…っていう風にも思っただけに(笑)
五條さんの作品ということで、もっと、スケールの大きな作品も、とは思うものの、これはこれでなかなか面白かった。

No.1808

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COMMENT 2

そら  2009, 09. 09 [Wed] 12:47

たこやきさん,こんにちはっ♪

鏑木ってエネルギー低めだけど,何だかキライになれないキャラでしたねぇ。
おっしゃるように,会話が生き生きしていたのかもしれないなぁ。うん。

>何の学者だったのか?

「経済関係」に1票v-8

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たこやき  2009, 09. 11 [Fri] 05:25

そらさんへ

エネルギー低め、というか、何か敢えて低く構えている、みたいなところも少し感じましたけどね。
でも、そんな様子と、白樺とかとのやりとりは楽しかったです。

>「経済関係」に1票
ヤクザが、となると、その辺りが妥当な感じはしますよね。
でも、経済関係の仕事、全くしていないような…(^^;)

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