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2009/11/05 (Thu) 13:56
(書評)2円で刑務所、5億で執行猶予

著者:浜井浩一

2円で刑務所、5億で執行猶予 (光文社新書)2円で刑務所、5億で執行猶予 (光文社新書)
(2009/10/16)
浜井浩一

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日本における凶悪犯罪は、減少傾向にある。しかしながら、その一方で、刑罰は厳罰化という逆の状況を示している。
本書は、まず、日本の犯罪状況を統計などから検証し、その上で現在行われている「防犯対策」などの問題点を明らかにする。後半では、日本の司法システムとその背後にあるポピュリズムなどを考察し、その問題点と、どうすべきか、ということを考察する。
前半の犯罪傾向についての考察。この内容としては、『犯罪不安社会』などと重なるし、また、後半の刑務所における人々の姿などは『刑務所の風景』などで綴られたものと重なる。ポピュリズムなどについても、同様のテーマで綴られた書が発表されており(私は読んでいないのだが)、そういう意味では、著者のこれまでの書籍を網羅的にまとめた書という事が出来るのだと思う。
なので、ちょっと感想を書きづらい、と感じたのは、これまでに著者の書籍について書いたものと同じような内容になってしまう、という点だろうか。ただ、それを含めて言えるのは、ちゃんとした検証を経た、根拠のある対策を施すべきである、というメッセージだろうか。
各地で防犯対策として叫ばれている「割れ窓理論」に対する疑問点。青い街頭への疑問。刑務所などで行われているブートキャンプや反面教師教育の効果の検証。さらに、そこから一歩進んで、実際には犯罪が増えていないにも関わらず、「治安悪化」というイメージの先行…と、すべて「実態と乖離した現象」と言える。さらに、終盤で述べられる刑務所での自己実現というのは、事実であるとしても、一種の皮肉に聞こえてしまうのは何とも…。
厳罰化、死刑の増加、不審者はすべて排除…というのは、威勢がよいが、目の前から排除しても、その対策をどこかでしなければならず、結局、どの程度の効果があるのかはわからない。また、そのように徹底的に排除する社会というのは極めて居心地の悪い社会になるというのも間違いない。その主張は、その通りであると思う。
ただ、著者自身が、「読みやすさのため、注釈やリファレンスを省略した、と述べているように多少、その論拠などはどこだろうと感じる箇所があった。二分論的なわかりやすさの問題点などを述べているだけに、その辺は減点材料になるかも知れない(個人的には、ポピュリズムなどについての部分で、それを感じた。その辺りについての著者の書を、今後読んでみようと思うが)
とは言え、これまでの著者の主張などを網羅的に記した書で、著者の書籍を読んでみよう、という人にはまずこの書を、というので良いのではないだろうか。

No.1877

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