著者:牧野修
毎日のように喫茶店『不眠症』で馬鹿話に興じる3人の男子高校生。柳原心太(こころ)、鈴木地球(アース)、佐藤流星愛(るきあ)。『不眠症』のウェイトレス・夏恵に憧れる三人は、彼女が妊娠している、という驚愕の事実を知る。そんな心太の元へ、呪詛の依頼が入る。心太は、1級の邪神に憑依された存在で・・・・・・
設定そのものは、色々とあるんだけど、終わってみると、結局、すごく青臭い、ある意味、ばかばかしいパワーに溢れた青春小説的な作品と言えるのかな? そんな風に感じる。
邪神という存在があり、役所などで各種の手続きをして申請、そして、それが受理されると、邪神の呪詛を発揮させることができる。邪神に呪詛は、願いを叶えることができるが、当然、それがその依頼人の依頼があったから、ということは証明できない。故に、利用者もいる、というもの。
第1章に関して言えば、そのシステムの紹介みたいなものもあったし、また、それがあるからこその皮肉な事件・・・・・・という感じであったのだけど、第2章、第3章になるにつれ、どんどん、その辺りの印象が薄くなったような気がする。そして、その中で描かれるのは、年上の恵に対するあこがれであり、また、その彼女を守るために世界を敵に回してでも、というとんでもない青臭さ。その上で、著者のある意味、普段の方向性であるSF的なまとめ方、として完結させる。なんか、第1章と、2章以降がちょっと色が異なるような感じがする。
SF的な部分で見ると、伏線の張り方だとかも丁寧だし、なるほどね・・・・・・と思う。失敗したら、死んでしまうかも知れない、という邪神憑依を息子にしてしまった心太の父であるとか、心太と祖母のやりとりだとか、そういうのがしっかりと生きている。
ただ、反対に言えば、邪神システムとかがちょっとおざなりになって、仮想人格の不死身さとかが、アクション部分での道具になってしまった感がある。膨大な申請が必要、とか、そういうのを活かせば、また、別の方向性で面白い話になるんじゃないかと感じただけに。
SFとしては面白かったが、邪神としての部分がちょっともったいない、と感じる。
No.1970

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毎日のように喫茶店『不眠症』で馬鹿話に興じる3人の男子高校生。柳原心太(こころ)、鈴木地球(アース)、佐藤流星愛(るきあ)。『不眠症』のウェイトレス・夏恵に憧れる三人は、彼女が妊娠している、という驚愕の事実を知る。そんな心太の元へ、呪詛の依頼が入る。心太は、1級の邪神に憑依された存在で・・・・・・
設定そのものは、色々とあるんだけど、終わってみると、結局、すごく青臭い、ある意味、ばかばかしいパワーに溢れた青春小説的な作品と言えるのかな? そんな風に感じる。
邪神という存在があり、役所などで各種の手続きをして申請、そして、それが受理されると、邪神の呪詛を発揮させることができる。邪神に呪詛は、願いを叶えることができるが、当然、それがその依頼人の依頼があったから、ということは証明できない。故に、利用者もいる、というもの。
第1章に関して言えば、そのシステムの紹介みたいなものもあったし、また、それがあるからこその皮肉な事件・・・・・・という感じであったのだけど、第2章、第3章になるにつれ、どんどん、その辺りの印象が薄くなったような気がする。そして、その中で描かれるのは、年上の恵に対するあこがれであり、また、その彼女を守るために世界を敵に回してでも、というとんでもない青臭さ。その上で、著者のある意味、普段の方向性であるSF的なまとめ方、として完結させる。なんか、第1章と、2章以降がちょっと色が異なるような感じがする。
SF的な部分で見ると、伏線の張り方だとかも丁寧だし、なるほどね・・・・・・と思う。失敗したら、死んでしまうかも知れない、という邪神憑依を息子にしてしまった心太の父であるとか、心太と祖母のやりとりだとか、そういうのがしっかりと生きている。
ただ、反対に言えば、邪神システムとかがちょっとおざなりになって、仮想人格の不死身さとかが、アクション部分での道具になってしまった感がある。膨大な申請が必要、とか、そういうのを活かせば、また、別の方向性で面白い話になるんじゃないかと感じただけに。
SFとしては面白かったが、邪神としての部分がちょっともったいない、と感じる。
No.1970

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