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(書評)brother sun 早坂家のこと

著者:小路幸也

brother sun 早坂家のことbrother sun 早坂家のこと
(2009/08/26)
小路幸也

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早くに妻を亡くし、男手一つで3姉妹を育ててきた父は、ある日、姉妹と殆ど年の変わらない妻とできちゃった結婚をし、家を出た。ただし、2軒先に。腹違いの、2歳の弟を預かり、父たちを旅行に送り出した早坂家に、没交渉であった伯父が現れて……
小路さんの作品というと、家族というのがテーマになる作品が多いが、本作もタイトルからわかるように、直球ど真ん中でそれを描く。早坂家に嫁いだ新しい妻と、腹違いの弟。さらに、主人公である3姉妹にも、それぞれ婚約者同然の恋人やら何やらがいて、騒がしい一面もある……なんていうと『東京バンドワゴン』シリーズを思い出すのだが、カラーはそことはがらっと異なる。
物語の根底にあるのは、家族の中にあるちょっとした不和と不安、とでも言うものだろうか。
突然現れた没交渉だった伯父。父は普段、全く伯父のことを語らず、伯父もまた父との間のことについては口を噤む。3姉妹の周囲であったちょっとした騒動などから、予感させられるもの。そして、それそれが、自分はもしかしたら……と広がっていく。
「男としてのお父さんは、頭に浮かばない」
という台詞が作中であったのだけど、家族だから、家族の中の関係だからこそ見えないものなどがあり、基本的に暖かい雰囲気は保ちつつも、ただ、家族は良いもの、暖かいもの、というのとは違った、家族も又、人間なんだ、というのを意識させられる。
小路さんの作品、「暖かいのは良いけど、良い人たちばかりでちょっと……」と感じるようなものもいくつかあったのだけど、本作に関して言えば、全てが全て、良いことばかりではないけど、それでも……というのが感じられ、小路さんの作品の中でも特に気に入った作品になった。

No.1977

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