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(書評)三匹のおっさん

著者:有川浩

三匹のおっさん三匹のおっさん
(2009/03/13)
有川 浩

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父から受け継いだ剣道道場には生徒がいなくなり、会社も定年退職。しかも、そこで二世帯住宅の嫁に言われたのは、道場を潰して、何か教室を開きたい、という一言。散々な誕生日を迎えてしまった清田清一に、幼馴染みの重雄が出したのは、自分たちで自警団を作ろう、というもの。もう一人の幼馴染み、則夫と共に早速、活動を始めるのだが……
『三匹』というと、どうしても時代劇『三匹が斬る』を思い出す。役所広司さん、若かったなぁ(どーでも良い)
物語は、そんなわけで、剣道の達人である清一、その幼馴染みで柔道の達人である重雄、身体が小さく、武道とかはやっていないけど、工場を経営していて、様々な武器を作ってそれを持っている則夫の3人が、街で起こるカツアゲや、痴漢や、はたまた悪徳商法やら、といったものを成敗していく、という連作短編集。主人公がおっさん、というか、還暦を過ぎている面々ということもあって、結構、ここ一番では説教くさいし、お節介だし、というのはあるのだけど、でも、なんか熱い。それが良い。
また、その清一の孫で、いかにもな若者の祐希と、則夫の娘で、かなり家庭的な早苗の関係とか、予想外に「甘い酸っぱい」話とかもあって、やっぱり、有川浩さんだな~、という風に思ったりもする。でも、祐希じゃないけど、この3人の保護者が、文字通りに「見守っている」状況って、かなり大変そうなんだけど(笑) 則夫は、本当に3人の中でも一番「キレた」人だし(笑) でも、祐希が清一のファッションに色々と口出しをして、何だかんだ良いながら楽しそうにやりとりをしている場面とか、笑いだとかも存分に含んでいて、楽しく読むことができた。
事件に関しては、色々と社会だとかについて言われている問題だとかを題材にしているな、という印象。熟年離婚だとか、高齢者を狙った悪徳商法とか、そういうのを含めて。
ただ、この話だけ見ていると、若い世代があまりにも情けなく描かれすぎじゃない? という気がしないでもない。祐希と早苗以外、みんな、ダメじゃん、っていうのばかりだし。もうちょっと若い世代にも、何か見せ場が欲しかったな、というのは感じる。
でも、そういうのはあまり気にせず、破天荒なおっさんたちの活躍を楽しむ、っていうので良いんだろう。楽しかった。

No.2013

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