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(書評)おまけのこ

著者:畠中恵

おまけのこ (新潮文庫)おまけのこ (新潮文庫)
(2007/11)
畠中 恵

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廻船問屋の若だんな・一太郎を主役とした、コミカルな妖時代小説第4弾。5編を収録。
今回は、一太郎そのもの、というよりも、妖の側に主軸を置いた、という印象だろうか。5編中、3編が妖そのものの視点などを含んでの物語。そして、1編は、一太郎と栄吉が仲良くなったきっかけというような過去の物語というのもあるし。
1編目の『こわい』は、仏にすら嫌われる、という狐者異が、天狗の薬をやる、ということを言い出す話。とにかく、そんなものがあるはずがない。狐者異に近づいてはならない、と若だんなの周囲の妖が言いながらも、色々と起こってしまう騒動。しかし、それでも、若だんなは狐者異の孤独を哀れむ。けれども……
ずっと嫌われる存在である狐者異の孤独。しかし、それが勝ちすぎてしまい、ひねた見方をするため、自分で孤独を呼び寄せてしまうことになっている、というその結末……。その悪循環が何とも悲しいエピソードだった。
『畳紙』は、厚化粧で有名なお雛が、濃い化粧をするようになった理由と迷いを、屏風のぞきにするという話。どちらかというと、若だんなの身代わりとか、地味な印象があった屏風のぞきの、粋な性格が表れていてなんか明る気持ちになった。その前の『こわい』との対照さ、というのもあるんだろうけど。お雛の方も、夢を思っているから、素直に言うんだけど……「夢の中なのに眠い」とか、くすりときた。
表題作『おまけのこ』は、鳴家の大冒険。長崎屋での真珠の強奪事件と、鳴家の冒険。ミステリ的な謎解きとの組み合わせ方が上手い。鳴家の冒険は、確かに危機の連続。……なんだけど、見ている分にはどっちかというとコメディみたいに見えてしまうのはなぜだろう? 元々は、鳴家が屏風のぞきに「役立たず」と言われたところから、なんだけど……一太郎の情報網の要として、そして、作品世界の盛り上げ役として大事な存在だよな……と思う。
というか、屏風のぞきも鳴家も、存在感は似ていると思うのだが(笑)
これまでの作品と、多少、趣を変えてきた本作。最初から用意されていたキャラクターだけでなく、これまでのシリーズで登場したキャラクターが動くとか、世界そのものがきっちりとしてきた、というような印象を受ける。

No.2040

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