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(書評)七度狐

著者:大倉崇裕

七度狐 (創元推理文庫)七度狐 (創元推理文庫)
(2009/07/05)
大倉 崇裕

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血縁者にのみ受け継がれる名跡・春華亭古秋。その名の継承者を決める一門会が、静岡県の小さな村で行われる。『季刊・落語』の新米編集者・間宮緑は、編集長・牧の指示により、取材に赴くことに。雨により、村が陸の孤島を貸す中、古秋の3人の息子がしのぎを削るものの、その一人が何者かに殺害され……
『三人目の幽霊』の続編となる長編作品。
物語の題材としては、冒頭にも書いたようにクローズド・サークルになった村で起こる連続殺人。さらに、その殺され方は「見立て」と、「いかにも」なつくりは色々とある。でも、物語はトリックをメインにしたミステリというよりも、そこでの事件を巡ってのサスペンスという印象が強い。
45年前に突如、失踪した5代目・春華亭古秋。そんな彼が目指していたのは、通常・2回しか狐の騙しを演じないはずの「七度狐」を、名前の通り7回の騙しを入れること。そして、どうやら、そこに見立てられているらしい。さらに、名跡をめぐって、兄弟の間に存在している確執に、45年前の事件の真相を……と入り、非常にスリリングに作られている。
また、探偵役たる牧が、現場にいない、というのもそのスリリングさを増させている。緑との電話のやりとりである程度は想像しても、しかし、決定打に至らないもどかしさ。この辺り、編集部が牧と緑の2人しかいない、とか、前作で設定した状況がこれでもか、と活きてるように感じる。
正直なところ、作中でかなりの人数が亡くなるので、消去法で犯人が絞れてしまう部分はある。
ただ、それでも最後までスリリングに読み進めさせる力はあるし、完成度の高い一作であるように思う。

No.2044


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