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(書評)キョウカンカク

著者:天祢涼

キョウカンカク (講談社ノベルス)キョウカンカク (講談社ノベルス)
(2010/02/05)
天祢 涼

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女性を殺害後、焼却する、という連続殺人事件。「フレイム」事件と呼ばれるそれの3人目の犠牲者・神崎花恋の恋人・甘祢山紫郎は、後追い自殺を考えていた。そんな彼の前に現れた銀髪の女性・美夜。彼女は、「共感覚」を持つ探偵で、フレイム事件を追いかけている、という。美夜の調査に協力を申し出た山紫郎。思惑を持ちながらの調査の末に……
第43回メフィスト賞受賞作。
共感覚。音が色彩として認識される能力を持つ探偵・美夜。その音、特に声からは、相手の感情などを読み取ることも出来る。なんか、アニメ『CANAAN』で全く同じような能力を持つ殺し屋さんがいたような……というのを読みながらどうしても思った(笑) ただ、感情が色と形として表現できる、とか言うのは、匂いを視覚的に表現した『オルファクトグラム』(井上夢人著)に通じるものがある、とも。
物語は、共感覚を持つ探偵・美夜の過去のモノローグとかを交えつつ、その能力を持って事件に当たる。一応、美夜の依頼人は警察官僚であるものの、正式な捜査権が無いし、実際、感情を読み取るなど以上の能力は持たない美夜。そして、怪しい人物に出会うものの、動機は読み取れない。そして、アリバイがある中での事件……。
特殊な能力がある、とは言え、だから全てが完璧なんだ、なんていうことのない制約の中の調査。その中で、一つの辻褄を合わせれば、他が合わなくなるギクシャクした事件。何度となく登場する山紫郎の道化っぷり(笑) そういうのがあって、終盤に至るまで面白く読めた。そして、最後のもう一つのところ、については……まぁ、美夜という人間を描いた、という意味では、十分にこれで良いのではないか、と思う。
ただ、犯人の人物像に関しては、憶測として書かれているだけ、という違いはあるが、ちょっと強引さが感じられるかな? とも思う。まぁ、全て終わった後、で言う分には瑕疵にはならないが。
デビュー作としては、しっかりとまとまっていて良いんじゃなかろうか。

No.2064

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