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(書評)太陽のあくび

著者:有間カオル

太陽のあくび (メディアワークス文庫)太陽のあくび (メディアワークス文庫)
(2009/12/16)
有間 カオル

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愛媛の小さな村で開発された、新種のミカン。村の大人、そして、少年部の面々も協力してようやく出来たミカンが、テレビの通販番組で取り扱われることに。少年部のリーダー格である陽介は、父と共に、東京のスタジオに赴くのだが……
通販番組、という題材がちょっと特殊だけど、何か、すごくまっすぐな、すごくベタな青春小説の展開を持ってきたな、という感じがする。
村の期待を背負ってのテレビ出演。しかし、そこでは大失敗。このままでは在庫が残ってしまう。焦る村の面々、一方、自身を持ってミカンを紹介したはずなのに、それが美味く行かずに焦るのは、テレビ局側のバイヤー・照美も同じ。「ミカンそのものは良い」という信念。そして、再挑戦へ……。これ、多分、野球とかサッカーとかに置き換えると、この上なく「ベタだ」という風に言ったのではないかと思う。
主人公は確かに少年なんだけど、確かに、これはライトノベルじゃないよな、とは思う。結構、ショッピングチャンネルのバイヤー同士のライバル心とか、売り上げ一つに一喜一憂し、それによって放映時間が……とか、そういうのはかなりリアルだし、また、ある種、ビジネス小説っぽい部分もある。それでも、あくまでも、サクサクと読める、というのは大きな売り。
また、さっき、展開はベタ、と書いたんだけど、でも、その真ん中にあるミカン(レモミカン)に対する絶対的な自信というのがあるから、軸がぶれていない、というも良いところだと思う。
ただ、逆に欠点もある。サクサクと読めるんだけど、それぞれの人物の思いとかが100%描ききれているのか? というとちょっと疑問だし(例えば、父親の迷い、とかちょっと唐突だし)、その辺りは改善の余地ありかな?
でも、完成度は高いと思う。ちょっと地味かも知れないけど(笑)

No.2089

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