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(書評)ウィズ・ユー 若槻調査事務所の事件ファイル

著者:保科昌彦

ウィズ・ユー (若槻調査事務所の事件ファイル) (ミステリ・フロンティア)ウィズ・ユー (若槻調査事務所の事件ファイル) (ミステリ・フロンティア)
(2009/12/19)
保科 昌彦

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入院中の所長・若槻に代わり、調査事務所の切り盛りをする調査員・高原の元へと舞い込んだ依頼は、娘が誘拐された、というもの。しかし、それは、仮想空間内での出来事。背に腹は代えられずに引き受けた高原たちだったが、身代金を見事に奪われてしまい……
主人公・高原の、いかにもハードボイルドを気取りながら、みんなに突っ込まれるキャラクターとか、そういうのは嫌いではない。ただ、正直なところ、それはそれとして、物語のメインとなるネット上の世界の設定が微妙で、何とも……
恐らく、イメージしているのは「セカンド・ライフ」辺り。ゲーム・マスターと呼ばれる運営会社側の人間は一応いるものの、基本的には、利用者による自治で成り立っており、そして、その中でアバターなどを作って、という社会。そこでの誘拐事件。
……なんだけど、その暴力はできないけど、刃物を突きつけて脅すことは可能。荷物をひったくることも可能。って、ちょっと無理が無いか、それは……と感じざるを得ない。また、実際のネットゲームとかでもそうだけど、これでも実際の犯罪行為が行われているけど、でも、運営会社が何もしない、っていうのもなぁ……。無論、それでも金を払う、っていう側もそうだけど、それ以上に、設定そのものの方に疑問を感じる。また、カバー折り返しのあらすじが詳しすぎるのもちょっと(物語の後半までの流れが書かれている、ってのはやり過ぎでは? しかも、それである程度、結末が読めてしまう)
そんな中で、高原とその息子、元妻とのやりとり、依頼人の側の問題……と言う辺りで、向き合うことの大切さ、みたいなところをメッセージとしているのだろうけど、ちょっと設定の側にまず疑問が出てしまうため、えらく陳腐に感じられてしまった。
キャラクターそのものは非常に魅力的なだけに、そこを生かし切れずに終わってしまったように感じる。

No.2096

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