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(書評)想い火

著者:中野順一

想い火想い火
(2010/04/16)
中野順一

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さいたま市にほど近い埼玉県小松川市の消防本部に勤める女性火災調査官の茜。かつて、父が放火魔と疑われ、一家そのものが窮地に陥った過去を持つ彼女は、厳しいながらも尊敬できる上司・刀根の下、忙しい日々を送る。そんな小松川市では、連続放火事件が発生し……
うーん……正直なところ、厳しいな……。
消防などに関する蘊蓄などを色々と描きつつ、連続放火事件、さらには、その中で悪質な事件の真相を、ということをしたいのはわかる。ただ、全体的に弱い。
まず、蘊蓄などについては、つまらないわけではない。しかし、例えば、飲み会(合コン)に誘われても、相手がやっぱり消防士だったりで、かつ、そこでの話題が消防について、だったりとか、ちょっと無理が無いか? と。なんか、無理に蘊蓄を入れているように感じられて、まず引っ掛かった。
また、事件そのものについても、多分、読者はすぐに犯人が誰かわかると思う。それは、登場事物が少ないから、というのもある。けれども、それ以上に、作品の様々な要素を考えると(思いっきりぼかして書くと、何とももどかしい(笑))、それだけで犯人はこいつで、こういう動機で、というのがわかるのだ。
そして、そんな中、主人公である茜は、というと、途中からどんどん暴走していって正直なところ苦笑い。「捜査権を武器に嫌がらせをする警察」なんて作品の紹介文にあるけど、警察の方が極めてまっとうなことをやっているだけにしか見えない。まして、主人公の、自分の過去を振り返って、それでもそんなところに行き着いてしまうの? と考えると余計に(まぁ、そこで警察に対する不信感が育まれてしまった、ってのはあるにせよ) 読者としてみれば、明らかに間違った方向に勝手に暴走していく主人公を見守るようなもので、流石にちょっとなぁ……という感じ。
正直、ちょっと残念な作品、という感じがせざるを得ない。

No.2119

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