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(書評)ちんぷんかん

著者:畠中恵

ちんぷんかん (新潮文庫)ちんぷんかん (新潮文庫)
(2009/11/28)
畠中 恵

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江戸では頻繁に起こる火事。その魔の手は、ついに長崎屋にも。煙に巻かれた若だんなが気づくと、そこは冥土!? というところから始まるシリーズ第6作。
しんみり。
そんな感想がどうしても思い浮かぶ作品だった。
第1編で、いきなり賽の河原へと辿り着いた若だんなが……という話になり、その後は、シリーズでもお馴染みの広徳寺での話。若だんなの母の、若き日の恋の話……なんていうのを交えつつ、物語は佳境へ。
一太郎の兄・松之助の結婚。それは、兄弟の別れを意味する。さらには、もう一つの別れの予感。そんなところへ現れた桜の花びらの妖・小紅。赤ん坊から、あっという間に大きくなっていく小紅。しかし、桜の花というのは……。「そんなものだ、と思うしかない」という兄やたちの話と、どうにかしたい一太郎。しかし、一太郎と小紅の関係というのは……
今回の話って、最後に収録された『はるがいくよ』のために、それぞれのエピソードを積み重ねたように思えてならない。いきなり、死の淵に立たされたこと、さらには、松之助の結婚に纏わる諸々、母の結婚の話。そして、別れ。普段は、病弱だけど、まっすぐで、人のことを優先する一太郎が、どうにも兄について浮かない様子を見せたり……っていうのも全て、そこへと辿り着くわけだし。
これまでも、三春屋のお春ちゃんとか、別れのエピソードがなかったわけではない。でも、今回の場合、それ以上に、時の移ろい、というのを感じ、また、シリーズを重ねたことによるそれぞれの立ち位置があるだけに、と思う。
どちらかというと、これまでのシリーズは「明るい」「愉快な」雰囲気があっただけに、今回は、より、しんみり、という部分を強く感じた。

No.2123

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