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(書評)君がいなくても平気

著者:石持浅海

君がいなくても平気 (カッパ・ノベルス)君がいなくても平気 (カッパ・ノベルス)
(2009/12/17)
石持浅海

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携帯電話関連企業とベビー用品企業の業務提携。その結果としてヒット商品が誕生した。その祝勝会の翌日、プロジェクトチームのチームリーダーが社内で不審な死を遂げる。チームのメンバーである水野は、同じくメンバーであり、恋人である早智恵が殺害した、と確信し……
作品の紹介文には「早智恵がが犯人である決定的証拠を掴んでしまう」とあるのだけど、これは、「決定的証拠」なのかな? というのは、ちょっと思った。
とは言え、水野にとっては、それにより、犯人は早智恵であると決定。恋人ではあるが、しかし、結婚するつもりはなく、むしろ、惰性で付き合っているようなつもりでいる相手。しかし、逮捕されてしまえば、自らの将来すら危うい。だから、何とか別れようと考える。そこまでは、捕まらないように祈り、疑われないようにしながら……
まぁ、すごいエゴイズムの固まりのような話。犯人はわかっている(ただし、そもそもの決定的な証拠はない) では、なぜ? そして、そんなことを思いながらも、身体を求めてしまう。……苦笑いが何よりも出てくる。でも、そういう中で、第2の事件が起こり、そして……というスリリングさは面白かった。
正直なところ、ひっくり返しがあるのかな? と思っていただけに、すんなりとした決着がちょっと意外。動機については、これまでの石持氏の作品の中ではかなり納得出来るところにはある。もっとも、なぜ、その方法なのか? それ以外にないのか? といった辺りは疑問だが。
石持氏の作品、特に初期の作品では、論理性を重視し、故に非人間的と感じる、感情移入しづらいような印象を持ったことがあったのだが、本作に関しては、丁度、その逆、非論理的なところを主に添えた作品と言えるのかな? と思う。もっとも、本作の登場人物にも、あまり感情移入しやすいとは言えないのだけど(^^;)

No.2135

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