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(書評)火の闇 飴売り三左事件帖

著者:北重人

火の闇 飴売り三左事件帖火の闇 飴売り三左事件帖
(2009/12/16)
北重人

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家の騒動に巻き込まれ、現在は飴売りとしての日々を過ごす三左右衛門を主人公とした連作短編集。
著者の絶筆となった作品、ということなのだけど……、作品の評価以前に、北氏の作品、これが最後なのだな、というのを思いながら、ちょっと寂しくなった。
で、物語としては、現在は飴売りとして日々を過ごしている三左右衛門が、事件に巻き込まれて、という話。
短編作品という意味では、『夜明けの橋』と似たような部分もあるのだけど、本作の場合、主人公・三左右衛門という人物をメインに捕物帳として続く部分があり、ある意味では、これまで以上にエンターテインメント色を強くした印象がある。
とは言え、北氏の作品の特徴とも言える、全てがハッピーエンドとはならない結末。1編目、三左が飴売りとして独り立ちすることが出来たきっかけとなった金貸し・お辰の死を巡っての物語『観音のお辰』『唐辛子売りの宗次』は、「良い人」では生きていけない処世のつらさが、『鳥笛の了五』では、三左の過去に纏わる出来事が後を引いての事件。ここでも、派閥争い、そのために仁やら何やらが……といったものが感じられる。そして、最後の三左自身の過去を描く『火の闇』……
こういっては何だが、前にある4編で、どういった形で展開するのか、というのを示し、『火の闇』で、三左自身を、さぁ、これから、シリーズを進めていって……という構想を練っていた矢先で……というような印象をどうしても抱く。それぞれ、楽しめたのは確かなのだが、しかし、三左の、小紋の、藩の……それぞれがまだ色々とありそうな、そんな印象を抱かせる。
是非とも続編を読みたかった。
そんな感想がどうしても残る。

No.2156

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