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(書評)ダウンタウン

著者:小路幸也

DOWN TOWN/ダウン タウンDOWN TOWN/ダウン タウン
(2010/02/19)
小路 幸也

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1977年、高校2年生の省吾は、中学時代の先輩がバイトをしている、という「ぶろっく」という喫茶店を訪れる。女性が多い、狭い喫茶店。その常連客とのやりとりの中で……
「年上の女性ばかり」「大人になる、ということ」というフレーズだけを拾うといやらしい作品のように思える(←最悪)
でも、「大人になる」というのが、どういうことなのか、っていう話なのは確か。
1970年台の末を舞台にした物語。喫茶店を訪れる常連客は、皆、主人公よりも年上の人々。
恋人の帰りを待っている店主。病気の母の入院費のため、水商売をする女性。タクシー運転手に、複雑な家庭事情を持つ女性。そして、その店にはいかない、という親友。それらの中……。子供というには、色々と経験をしていて、でも、大人とは言えない高校生の主人公と、様々な大人たち。その中で、金を稼ぐとは、責任を負うとは、そんなことが描かれていく。
小路さんの作品というと、非常に温かい、というイメージがある。
本作についても、そういうところはある。でも、それだけじゃなくて、ちゃんとシビアにするところはシビアに取り、でも、それを乗り越えようとする人にはちゃんと救いを、という印象が強い。ただ、「温かい」というのではなく、寒暖をしっかりとしている、という印象がある。これは、小路さんの故郷でもある旭川という実在の町を舞台にし、1970年代という時代を描いて、というのも大きいのかも知れない。そして、当然、それがあるからこそ、「大人って」というテーマそのものがハッキリとするのだと思う。
とにかく、大人がそれぞれ格好良いんだわ(笑) 常連客の面々、主人公・省吾の父……それぞれ、色んなものを背負って、その責任をしっかりと果たして暮らしている。そんな姿が印象に残る。
物語の中の事件とか、そういうものは、他の作品に比べても地味な印象があるのだけど、完成度ではこれまでの作品の中でも非常に高いものがあるんじゃないかと思う。

No.2172

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