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(書評)とっても不幸な幸運

著者:畠中恵

とっても不幸な幸運 (双葉文庫 は 18-1)とっても不幸な幸運 (双葉文庫 は 18-1)
(2008/03/13)
畠中 恵

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新宿伊勢丹の近くにある酒場、その名も『酒場』。そこは、血の気の多いオーナー店長と、古参の常連客が集まる。そんな店では、最近、店長の義理の娘・のり子が100円ショップで買ったという「とっても不幸な幸運」なる缶を開け、不思議な体験をして以来、しばしば、それが持ち込まれることに。そして、開けるたびに騒動が起こって……
という連作短編衆。
なんか、舞台となる『酒場』の雰囲気が良いな。それが読んでいて何よりも感じた作品かな?
一見さんお断り……というか、基本的に、一見さんが訪れず、常連客がわいわいとやっている店。そこで缶を開けると、かならず妙な幻影を見る。そして、それをやっぱり、常連客たちが色々と推理する。ただし、賭けの対象にしてみたり、茶化しながら……というようなことをしたりもする。特に、口調は荒っぽいし、けんかっ早く、でも、結構、面倒見の良く、しかも子煩悩な店長……といったキャラクターが良い。
事件そのものは、1編目の、のり子の周囲で起こった事件のようなものから、ウェイター・健也の話のような、かなりシリアスなもの、文字通りの大事件・花立の物語に、逆に刑事事件というわけではないが、すれ違いの物語……など、かなりバラエティに富んだ話が入っていると思う。多少、「とっても不幸な幸運」という缶が必須な必然性は弱いかな? と思う部分もあるのだが。
そんな物語で、ある意味、視点となるのが、過去の物語。前オーナーと現店長・洋介の思い人。そして、そんな三人を思って行われた常連客の計らい。一見さんお断り、というか、徹底的なまでに近しい関係というのは、ここから始まっているのだろう、と納得出来る。
先に書いたように、缶の使い方とか、工夫をすれば、もっと良くなったんじゃないか、と感じる部分がないわけではない。でも、全体を通せば十分に面白く読むことが出来た。

No.2210

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