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(書評)血統

著者:門井慶喜

血統(ペディグリー)血統(ペディグリー)
(2010/06/08)
門井 慶喜

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日本画家の家に生まれ、ペットの肖像画を描いて暮らす一雅。家そのものを黄色く染める女性の家で、白いポメラニアンの絵を依頼されたその足で、新しい犬種を作っている、という自称ブリーダーの森宮と会う。話を聞き、森島に出資することに決めるのだが……
やっぱり、著者の作品だったか……というと、何だけど、読み始めたときに想像した話と、読み終わったときの印象が全く違うものに。以前に読んだ『お探しの本は』とかと同じような印象。
序盤は、物語の冒頭に書いたように、ペットの肖像画を描くに辺り、その飼い主が何を求めているのか? とか、そういうものを森宮とのやりとりだとかを通じて考察し……という連作短編のように感じさせる。ところが、それは中盤で早くも変化し、テーマそのものも色々と移り変わっていく。
自分自身、競馬とか好きだし、その中で、「成功作」「失敗作」みたいな形で動物を作り上げていく過程があり、そこには、間引きだとか、そういうある意味、非常に残酷なものがあるのは理解しているつもり。そんなブリーダーとしての現実路線で動く森宮。
一方、日本画家の家に生まれ、同じく画家の娘との婚約などをしつつ、それで良いのか? と悩む一雅。それは、動物のブリーダーとどう違うのか? そんな悩みから、日本画をやめ、ペットの肖像を描き、でも、日本画への未練もある。その中での葛藤と、父の説得。さらに、一雅を巡っての事件で、さらに別の疑惑も……。そういう心情の揺れ動きだとかは非常に丁寧。
ただ、展開そのものがかなりめまぐるしく動く上に、終盤は流石に無理があるような気がしてならない。希望を感じる、といえばそうなのだけど、ある意味じゃ、勝手に絶望していただけ、とも言う(笑) しかも、その騒動の原因となったものについても、一つの想像でしかなく、謎解きとして、それほど意味があったとは……。なんか、終盤のまとめ方には、ちょっと不満を感じた。
主人公に対して、どういう感情を抱くか。それによっても評価が割れそうな気がする。

No.2213

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