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(書評)オチケン、ピンチ!!

著者:大倉崇裕

オチケン、ピンチ!! (ミステリーYA!)オチケン、ピンチ!! (ミステリーYA!)
(2009/05)
大倉 崇裕

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入学早々、落語研究会に入部させられてしまって1ヶ月。越智のもとには次々とトラブルが起こるが、今度は、岸が退学のピンチに陥ってしまう。しかし、調べてみると、他にも周囲で不可思議な事件が起こっていて……(『三枚の始末書』)
など、2編を収録。といっても、続け方が続け方なので、長編のような感じなのだが。
とりあえず、前作、あんな形で終わらせておいて、「続きを書くつもりはなかった」と言っていたあとがきの言葉に驚いた。今回も、似たような引きなのだが……果たして?
前作でも、それぞれのキャラクターが立っていたのだが、本作でも同様。なんか、すっかり、落研のカラーに染まってしまっている越智に、それを良いこと、ますます、深みに沈めよう、という岸&中村が……酷い(笑) 他にも、学生部の土屋とか、ある意味、ライトノベル的なノリではあるんだけど、それがあるからやっぱり楽しく読めるのだと思う。
とは言え、今回は、岸の退学が掛かっての調査で、必死にならざるを得ない部分、そして、消えた噺家の背後にある理由、と深みのある部分は多い。
『三枚の始末書』については、学内で起こっている事件の理由を……というところになるのだが、ある意味、ひっくり返し方としては定石通り。ただ、退学処分、というものが掛かった中でのもののため、上手くカモフラージュされていて最後まで気づかなかった。
そして、『粗忽者のアリバイ』では、噺家、芸というものについて。そのためなら、何をしても良いのか? ある意味、究極の問いではあると思う。その消えた噺家だけでなく、岸と周囲のライバル関係、師匠同士の関係。ライバルではあっても、互いを認め、その上で切磋琢磨する。そういうものがしっかりと描かれていて、そういう雰囲気だけでも十分に楽しむことができた。
前作同様、非常に楽しかった。

No.2215

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COMMENT 2

苗坊  2010, 08. 07 [Sat] 18:11

こんばんわ。
私も続きを書くつもりはなかったというくだりは驚きました。
あんなに中途半端に終わっていたのに!
あれを読者に想像させろというのは無理がありますよね。
今回も微妙な終わり方だったので、続きを出して欲しいなぁと思います。
越智君に平穏な学生生活が送れるときは来るんでしょうか。
きっとこないですね・・・かわいそうに。

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たこやき  2010, 08. 11 [Wed] 20:56

苗坊さんへ

こんばんは。
あの終わり方で、続きを書くつもりがなかった、というのは驚きですよね。そして、この巻も……

>越智君に平穏な学生生活が送れるときは来るんでしょうか。
確かに……
というか、平穏かどうか以前に、ちゃんと卒業できるのか、単位が取れるのか、が気になります(^^;)

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