著者:美奈川護
世界的な戦争を経て、世界政府による統治が行われる世界。そこでは、「プロパガンダ撤廃令」により、様々な芸術が人々の目から隠されていた。そんな中、その隠された芸術を描き出すアート・テロリスト、「ヴァンダル」。政府を敵に回しながらも、彼らがそれを行う理由は……
なんか、昨今の非実在青少年規制とかに対する一種の批判とも受け取れるものだなぁ……。電撃大賞金賞の受賞作ではあるのだけど、物語としては、ライトノベル的な萌えとかからは外れた印象。
上に書いたように、そんな世界で、テロリストとして政府に追われながらも描き続ける様を、序盤は、ヴァンダルに関係しない人々の視線から、後半は、そのメンバーの視点から描くという形になる。クリムトの『接吻』、ゴッホの『ひまわり』、ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』、ピカソの『ゲルニカ』などの作品を使いつつ淡々と描いていく。全体的に、盛り上がりに欠ける部分はあるかも知れないけど、それも狙いなのかな? と思う。
ただ、欠点も色々とあるようには思う。
例えば、終盤の展開があまりに読みやすいこと。なんか、意外な理由があるように書かれているんだけど、少なくとも、こういう作品をある程度、読んでいると、このパターンだろうな、というものが思い浮かぶと思う。そして、そのものずばりな状態で、もう一捻りあっても良かったかも。
それから、世界設定が甘い、という点。近未来辺りを舞台にして、サイボーグとか、高度なAIとかがあるんだけど、そういうのが、それほど生きている、という感じではなく、また、ヴァンダルを追いかけるインターポールの刑事たちにしても、ヴァンダルのメンバーの名前とかに至るまでハッキリと認識しているのに向こうから仕掛けるのを待つ、とか、ちょっとあり得ないだろう、という感じがする。そういう辺りで、ちょっと引っ掛かった。
非常に魅力的な世界観と、やりたいことはわかるけど、描ききれなかった。そんな感じがする。
No.2250

![]() | ヴァンダル画廊街の奇跡 (電撃文庫) (2010/02/10) 美奈川 護 商品詳細を見る |
世界的な戦争を経て、世界政府による統治が行われる世界。そこでは、「プロパガンダ撤廃令」により、様々な芸術が人々の目から隠されていた。そんな中、その隠された芸術を描き出すアート・テロリスト、「ヴァンダル」。政府を敵に回しながらも、彼らがそれを行う理由は……
なんか、昨今の非実在青少年規制とかに対する一種の批判とも受け取れるものだなぁ……。電撃大賞金賞の受賞作ではあるのだけど、物語としては、ライトノベル的な萌えとかからは外れた印象。
上に書いたように、そんな世界で、テロリストとして政府に追われながらも描き続ける様を、序盤は、ヴァンダルに関係しない人々の視線から、後半は、そのメンバーの視点から描くという形になる。クリムトの『接吻』、ゴッホの『ひまわり』、ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』、ピカソの『ゲルニカ』などの作品を使いつつ淡々と描いていく。全体的に、盛り上がりに欠ける部分はあるかも知れないけど、それも狙いなのかな? と思う。
ただ、欠点も色々とあるようには思う。
例えば、終盤の展開があまりに読みやすいこと。なんか、意外な理由があるように書かれているんだけど、少なくとも、こういう作品をある程度、読んでいると、このパターンだろうな、というものが思い浮かぶと思う。そして、そのものずばりな状態で、もう一捻りあっても良かったかも。
それから、世界設定が甘い、という点。近未来辺りを舞台にして、サイボーグとか、高度なAIとかがあるんだけど、そういうのが、それほど生きている、という感じではなく、また、ヴァンダルを追いかけるインターポールの刑事たちにしても、ヴァンダルのメンバーの名前とかに至るまでハッキリと認識しているのに向こうから仕掛けるのを待つ、とか、ちょっとあり得ないだろう、という感じがする。そういう辺りで、ちょっと引っ掛かった。
非常に魅力的な世界観と、やりたいことはわかるけど、描ききれなかった。そんな感じがする。
No.2250

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