著者:畠中恵
江戸から明治にご一新となって二十数年。色々と変化した世の中で、外国人居留地で育った士族の真次郎は、念願の西洋菓子店を開く。同じく士族の警官・長瀬らが訪れる中、真次郎の元には厄介ごとも次々舞い込んで……
という連作短編衆。それぞれ、各編にお菓子の名前がついているのだが……あまり、事件と関係なかったりする(苦笑) 『1編目のチョコレイト甘し』くらい、かな?
そういうこともあって、タイトルほどのインパクトはあまり感じないのだけど、ただ、この明治半ばの時代性を大事にしたのかな、という風に思う。
御一新から23年。江戸時代も大分遠くなった、という時代で、真次郎がそうであるように、西洋文明なども世の中に浸透してきている。一緒に行動をしている沙羅の実家のように、その中で大きな富を掴んだ者もいる。けれども、一方で、食にあぶれ、しかし、士族のしきたりから抜け出せず、貧窮にあえぐ者がいて、時代錯誤と思われるようなお家再興を望む者まで……。
著者の代表作と言える『しゃばけ』シリーズと同様、語り口などはのほほんとした、ほんわかとした、そんな雰囲気ではあるのだけど、背景にそういう時代の雰囲気を感じさせるところが本作の特徴ではないかと思う。
ただ、そうはいっても、そこまで突っ込んで描いているわけではないので、多少、無理を感じるところはある。また、主人公・真次郎と、その真次郎に思いを寄せている(と思われる)沙羅の描写とかがある割に、その辺りが殆ど進展しないまま、だったりとか、そういうのも「あれ?」とは感じた。
軽いタッチで楽しむことは出来たけど、もう少し踏み込んでも良かったかも、という風に思った。
No.2253

![]() | アイスクリン強し (2008/10/21) 畠中 恵 商品詳細を見る |
江戸から明治にご一新となって二十数年。色々と変化した世の中で、外国人居留地で育った士族の真次郎は、念願の西洋菓子店を開く。同じく士族の警官・長瀬らが訪れる中、真次郎の元には厄介ごとも次々舞い込んで……
という連作短編衆。それぞれ、各編にお菓子の名前がついているのだが……あまり、事件と関係なかったりする(苦笑) 『1編目のチョコレイト甘し』くらい、かな?
そういうこともあって、タイトルほどのインパクトはあまり感じないのだけど、ただ、この明治半ばの時代性を大事にしたのかな、という風に思う。
御一新から23年。江戸時代も大分遠くなった、という時代で、真次郎がそうであるように、西洋文明なども世の中に浸透してきている。一緒に行動をしている沙羅の実家のように、その中で大きな富を掴んだ者もいる。けれども、一方で、食にあぶれ、しかし、士族のしきたりから抜け出せず、貧窮にあえぐ者がいて、時代錯誤と思われるようなお家再興を望む者まで……。
著者の代表作と言える『しゃばけ』シリーズと同様、語り口などはのほほんとした、ほんわかとした、そんな雰囲気ではあるのだけど、背景にそういう時代の雰囲気を感じさせるところが本作の特徴ではないかと思う。
ただ、そうはいっても、そこまで突っ込んで描いているわけではないので、多少、無理を感じるところはある。また、主人公・真次郎と、その真次郎に思いを寄せている(と思われる)沙羅の描写とかがある割に、その辺りが殆ど進展しないまま、だったりとか、そういうのも「あれ?」とは感じた。
軽いタッチで楽しむことは出来たけど、もう少し踏み込んでも良かったかも、という風に思った。
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