著者:ジョン・ハート
翻訳:東野さやか
双子の妹・アリッサが何者かに誘拐され、ジョニーの幸せな日々は失われた。父は失踪し、母は薬物へ依存した。そんな中、ジョニーは一人、妹を捜して回る。そして、アリッサの事件を担当する刑事・ハントはそんなジョニーを心配げに見つめる。そして、アリッサの事件から1年。当時のアリッサと同じ年齢の少女が攫われ、ジョニーの前に現れた瀕死の男は「あの子を見つけた」と告げる……
とりあえず、本編の感想を書く前に……実は、ブログで初めて取り扱う海外ミステリだったりする(笑) てか、実のところ、これを読んだのも突発的な理由だったりして(ぉぃ)
と言いながら、の本編感想。
まず、ミステリと言いながらも、謎解きとかというよりも、実のところ、それぞれの登場人物の心理をメインにした、というように思う。
事件をきっかけにして崩れた家族を、何とか立て直したいジョニー。母に迫る男に苛立ち、刑事に対しても心から信じず、危険を顧みない無謀さと、しかし、しっかりと状況を見極める冷静さを持つ。そんなジョニーを見守る刑事・ハントは、実の息子以上に、ジョニーに肩入れしてしまう。そして、そんな彼の家族は、彼の日常によって崩壊した状態に……。
凄まじいまでの事件を犯している性犯罪者の存在、脱走者、聖書(神)の存在、なんていう辺りは、やはり海外、アメリカの作品であるというように感じる。良い悪い、というのを別にして、日本を舞台にしてはあり得ない物語というように思う。ただ、それほど難しい、と感じずに読めたのは、著者の力か、訳者の力か? 読みやすいのは確か。
ハッキリ言って、人が死にすぎ、というような気がしないでもないし、決して後味が良いだけ、とも言えない。ただ、それでも、いくつかの崩壊が描かれつつ、しかし、再生の芽が生み出された……という希望の残る形は良いな、という風に思う。
文庫で上下巻併せて700頁近い大作ではあるが、しっかりと読ませる佳作だと思う。面白かった。
No.2279&No.2280

翻訳:東野さやか
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双子の妹・アリッサが何者かに誘拐され、ジョニーの幸せな日々は失われた。父は失踪し、母は薬物へ依存した。そんな中、ジョニーは一人、妹を捜して回る。そして、アリッサの事件を担当する刑事・ハントはそんなジョニーを心配げに見つめる。そして、アリッサの事件から1年。当時のアリッサと同じ年齢の少女が攫われ、ジョニーの前に現れた瀕死の男は「あの子を見つけた」と告げる……
とりあえず、本編の感想を書く前に……実は、ブログで初めて取り扱う海外ミステリだったりする(笑) てか、実のところ、これを読んだのも突発的な理由だったりして(ぉぃ)
と言いながら、の本編感想。
まず、ミステリと言いながらも、謎解きとかというよりも、実のところ、それぞれの登場人物の心理をメインにした、というように思う。
事件をきっかけにして崩れた家族を、何とか立て直したいジョニー。母に迫る男に苛立ち、刑事に対しても心から信じず、危険を顧みない無謀さと、しかし、しっかりと状況を見極める冷静さを持つ。そんなジョニーを見守る刑事・ハントは、実の息子以上に、ジョニーに肩入れしてしまう。そして、そんな彼の家族は、彼の日常によって崩壊した状態に……。
凄まじいまでの事件を犯している性犯罪者の存在、脱走者、聖書(神)の存在、なんていう辺りは、やはり海外、アメリカの作品であるというように感じる。良い悪い、というのを別にして、日本を舞台にしてはあり得ない物語というように思う。ただ、それほど難しい、と感じずに読めたのは、著者の力か、訳者の力か? 読みやすいのは確か。
ハッキリ言って、人が死にすぎ、というような気がしないでもないし、決して後味が良いだけ、とも言えない。ただ、それでも、いくつかの崩壊が描かれつつ、しかし、再生の芽が生み出された……という希望の残る形は良いな、という風に思う。
文庫で上下巻併せて700頁近い大作ではあるが、しっかりと読ませる佳作だと思う。面白かった。
No.2279&No.2280

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- 『ラスト・チャイルド〈上〉〈下〉』 ジョン・ハート(著),東野さやか(翻訳)
- アメリカの作家「ジョン・ハート」の長篇ミステリ作品『ラスト・チャイルド〈上〉〈下〉(原題:The Last Child)』を読みました。 [ラスト・チャイルド〈上〉〈下〉(原題:The Last Child)] 『川は静かに流れ』に続き、「ジョン・ハート」の作品です。 -----story------------- 早川書房創立65周年&ハヤカワ文庫40周年記念作品。 アメリカ探...
- 2021.12.24 (Fri) 22:28 | じゅうのblog