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(書評)クライシスF

著者:井谷昌喜

クライシスF (光文社文庫)クライシスF (光文社文庫)
(1999/08)
井谷 昌喜

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離婚を機に、閑職に追いやられた新聞記者・自見。自伝の資料集めのため、社長の人生について話を聞く中、その息子の仲間がダイビング中に奇妙な形で死んだことを知る。そして、それは恋人を襲った事故の相手と同じ。さらに、国際的に話題になっているテロ事件の最中にも……。「あくび」「計算能力の低下」……自見は、後輩と調査を開始するが、妨害が入り……
第1回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
とりあえず、本題に関係のないところから言うと、社長が色々な発言などで注目され、政治などにも強い人脈があるって、某新聞のあの人っぽいな……と思っていたら、著者はそこに勤務していた、っていうので笑った。主人公が、新聞記者で、とか、そういう辺りは、著者の経歴を活かして、ということになるのだろう。
何ていうか、話の規模はかなり大きいのだけど、物語としては、ある意味、定番的なところ、といった感じがする。
ちょっとした違和感から調べ始めた出来事。しかし、すぐに妨害が入り始め、そして、それは世界的な企業を巻き込んだ陰謀があって……と。そこに穀物メジャーとか、製薬会社とか、そういうものについての話も含ませる。よく言えば、堅実、悪く言えば、古くさい、そんな展開と言える。ただ、テンポだとかは良いし、すいすいと読ませる力があるのは確か。
ただ、題材が、ある意味、一時期、爆発的に話題になったものだけに、それから発表から十年近く経過して、却って「古くささ」を感じさせてしまう部分があるのも確か。勿論、その当時に指摘された問題が全て解決した、ということはないし、また、本作のような形で利用される、ということもあるのかも知れないが。
物語として考えるなら、犯人は、なぜその段階で自見たちに目を付けることが出来たのか? というのが第一の疑問(WEBサイトで情報を、というのはあるが、小さな個人サイトの書き込みまでチェック出来るだろうか?) 次に、陰謀とは言え、そこまで大々的な事件を起こしたら、むしろ、目立つだけでは? という気がする点。誘拐事件を起こして、新聞社のビルに爆破装置を……ってあんた(笑) よくよく考えるとツッコミどころを感じる。ま、エンタメ作品としては十分だと思うが。
ただ、やっぱり、先に書いたように、ちょっと古さは感じざるを得ないな、というのは残る。

No.2319

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