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(書評)三国志 七の巻 諸王の星

著者:北方謙三

三国志〈7の巻〉諸王の星 (ハルキ文庫―時代小説文庫)三国志〈7の巻〉諸王の星 (ハルキ文庫―時代小説文庫)
(2001/12)
北方 謙三

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魯粛と共に、孫権の元へ向かう諸葛亮。曹操に対し、自分たちだけでも戦う、と宣言する諸葛亮に、交戦・降伏に分かれる揚州の君・孫権の心にはさざ波が立つ。そして、戻ってきた周瑜を前に……
最近だと、映画『レッドクリフ』とかの題材にもなり、三国志でも最も大規模で、そして、最も有名であろう赤壁の戦い。ついに、そこへ、という話。
ただ、官渡の戦いを丸1巻に渡って綴った第4巻と異なり、今巻は前巻、諸葛亮を迎え、その戦略の元、すでに曹操を自分たちの思惑のように動かした、という状況があって、ということもあって、赤壁の戦いを中心に添えつつも、その後へ、というところに分量が多くある。
前々巻辺りから、曹操が「何かに急かされているような」という描き方をしていたわけだけど、まさしく今回の赤壁の戦いは、その状況が垣間見える。これまでなら、決してしなかったであろう士気の低い荊州軍の状況を見逃し、数に任せるだけの戦術をとる曹操。そのような状況を見抜き、ただ、勝利するだけでなく、そこから一気に天下を二つに、という野望に燃える周瑜。しかし、その周瑜の戦略を見越して、牽制をかける諸葛亮。曹操という巨大な敵を迎えて……という状況でありながら、しかし、周瑜と諸葛亮の間にある緊張感が何とも楽しい。そして、そのような中での劉備・孫権軍の勝利へ。
と、こう言いつつも、敗れた曹操の執念というのもこれまた見事、と感じる。命からがら難を逃れる。しかし、そこで目を覚ましての巻き返しへ。敗れたとは言え、中原の支配権は有し、帝もいる。有能な部下を喪ったわけでもない。それまでの勢いはなくなったとしても、すぐに立て直す、というのは、流石、と感じさせる。
一方の勝利後の周瑜と諸葛亮。劉備軍は諸葛亮の戦略に沿って、荊州南部を固め力を付けていく。対して、周瑜は二分の策を進めつつも予想外に早い劉備軍の拡大に焦りを感じ、さらに病に冒されていく。まだ、劉備と孫権の関係が悪いわけではない、と言いつつも、既に歪みが見えつつある状況というのが、この二人の状況からも感じられる。
そして、後継者争いについての考えをまとめる曹操と、五十に近い年齢になってしまった関羽。自分の使命と、兄の言動の間にギャップが出来てきた張衛など、これまでの主役たちにも変化の兆しが見えて来た。
ここから、文字通り「三国」へと収束していくわけだけど、この時点で、既に歴史が変わってきているのだな、と感じさせる後半の物語だった。

No.2324

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