FC2ブログ

(書評)少女

著者:湊かなえ

少女 (ハヤカワ・ミステリワールド)少女 (ハヤカワ・ミステリワールド)
(2009/01/23)
湊 かなえ

商品詳細を見る


夏休みを目前に控えたある日、転入生から敦子と由紀は衝撃的な話を聞く。それは、かつて親友の自殺を目にした、というもの。「人の死ぬ瞬間を見たい」 二人はそれぞれ、老人ホーム、病院へボランティアへ赴き……
デビュー作、『告白』で大きな話題をさらった著者の第2作。『告白』は、その名の通り、各章、主人公たちの独白という形で綴られる物語だったが、本作は2人の主人公の一人称視点で綴られる。
様々な要素を取り入れているな、というのが読みながら思った感想の第一、だろうか。
思春期の少女にある「死」というものに対する興味。互いをよく知っているつもりで、しかし、実は何も知らない、という微妙な関係。認知症と介護という問題に、冤罪事件の問題。取り出してみると、色々な社会問題として扱われているものをこれでもか、と詰め込んだ内容であることに気づく。そして、にも関わらず、非常にリーダビリティの高い文章で綴られている、というのは特筆すべきことじゃないかと思う。
それぞれ、非常に身近な問題が含まれており、どこに共感を感じるか、というのは、人それぞれの経験にもよるような気がする。
私自身としては、自宅で寝たきりの祖母がいた、という経験があり、由紀の家庭の問題というのが非常に身近に感じられた。由紀の祖母と違い、私の祖母は、寝たきりだったので、身体的な暴力などにならなかったが、しかし、言葉の暴力などで疲れ果てていた、というのは間違いなくあった。細かいところでの感情などは、凄くリアルに綴られていると思う。
ただ、その一方で、人間関係があまりにも閉じすぎていて、ある意味では思い切り「人工的」と感じる状況になっているのが欠点でもあると思う。それぞれが繋がっていく、というのはミステリ作品の醍醐味の一つとは言えるものの、そもそもが偶然の賜である出先で、そういう関係だった、というのはちょっと強引さを感じる。田舎町では全くないとは思わないものの。
世界観の構築、複線の回収など、完成度そのものは高いと思う。

No.2357

にほんブログ村 本ブログへ




スポンサーサイト



COMMENT 0