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(書評)七人の敵がいる

著者:加納朋子

七人の敵がいる七人の敵がいる
(2010/06/25)
加納 朋子

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育児と仕事を何とか両立してきた陽子。だが、息子の小学校入学早々、PTA役員決めの場で、早速、敵を作ってしまって……
というところから始まる連作短編集。タイトルの通り、全7編。
何ていうか、色々と身につまされるなぁ……これ(笑) あとがきを読むと、著者自身の経験なども色々と入っているように見受けられる。
私自身は、独身だけど、それでも小学校、中学校などには行っていたわけで、親がPTAの役員などもしたし(何せ、学年十数人の世界なので、全員役員だ)、地域の仕事だとか、そんなものは田舎という土地柄、色々とあったので凄くわかる。また、最近だと、川端裕人氏のブログなどで、PTAの問題なども色々と目にしていただけに、(子供の立場からの)自分の経験と併せて、かなりタイムリーな感じで読むことが出来た。
と、書くと、凄くシリアスな話のように思えるけど、基本的にコメディタッチの物語。
出版社の編集者として働く陽子。男性と共に働く彼女が、PTAなどの独特の世界に振り回され、でも、それに異を唱えながら、突き進んでいく話。働く母親と専業主婦の間にあるもの。子供の面倒は母が、という認識。先生との関係。などなど……確かに、かなり複雑。そして、勿論、母親の中でも思惑が異なるわけだから。コメディタッチに描きながらも、しっかりと問題点を描いており、「あるある」とか思いつつも、でも、素直に笑うと言うより苦笑いが出る。そんな感じを受ける。陽子についても、最初は我の強い、「言ってることはそうだけど……」と全て肯定できるわけではない感じだったのが、少しずつ共感できて、終盤にはすかっとする、という組み方になっているが上手いと思う。
作中でも触れられているのだが、「子供のため」という言葉は凄く強力な言葉だと思う。ただ、それが抵抗や反対を封じ込めるための道具になってはいけないし、それによって旧態依然としたのでは何の意味もないと思う。最初にも書いたけど、私は子供の立場からでしか経験していないけど、それでも「誰のためにしているんだろう」と言うイベントとかあったのを覚えている。
そういうのを考えると、やっぱり、面白いのだけど、素直に大笑い、というよりも苦笑い、という感じになった。

No.2369

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COMMENT 2

そら  2011, 01. 19 [Wed] 12:22

たこやきさん,こんにちはっ♪

私,陽子さんに最後までなじめなかったし,
異議を唱えたい部分も多々あったけれども。

>コメディタッチに描きながらも、しっかりと問題点を描いており

本当に。
私は,親の立場から何となく感じていたことを言葉にしてくれた…みたいなところがたくさんありました。
さすが作家さん。
体験をムダにはしませんね~(*^_^*)

「子供のため」…この言葉って,
本当にざっくりと使われすぎている気がしていたので,

>それが抵抗や反対を封じ込めるための道具になってはいけないし、それによって旧態依然としたのでは何の意味もない

という部分をしっかり描いた作者さんに
拍手!です。

言葉って,特に響きのよい言葉って,
振り回してはいけないし,
振り回す人の言うことを盲目的に受け入れてもいけない
…かもしれないと思う今日この頃。

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たこやき  2011, 01. 19 [Wed] 21:13

そらさんへ

こんばんは。
どうしても、陽子のキャラクター自身が、かなり強烈なので、反発などは呼びますよね。私自身、陽子のやり方がベストだとは思えないですし。

ただ、
「子供のために」
と言う言葉を、何かを強制するような物言い、というのは、PTAの話以外にも色々と思うところがある中で呼んだので、余計にその部分を強く思いました。

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  • 約一ヵ月前に読んだ作品です(^^;) PTA小説…って,新しい分野じゃないの? と思う私。 分かる分かる!という部分もあり, 違うんじゃないかなぁと思う部分もあり。 ★★★☆☆ ワーキングマザーのPTA奮...
  • 2011.01.19 (Wed) 12:24 | 日だまりで読書