FC2ブログ

(書評)タルト・タタンの夢

著者:近藤史恵

タルト・タタンの夢 (創元クライム・クラブ)タルト・タタンの夢 (創元クライム・クラブ)
(2007/10)
近藤 史恵

商品詳細を見る


下町にあるフランス料理店、ビストロ・パ・マル。カウンター7席に、テーブル5つという小さな店。長い髪を後ろで束ね、無精髭を生やした無口なシェフは、店で話題になった謎を次々と解き明かし……
全7編収録の連作短編集。
とりあえず、どうでも良いことから。作品の探偵役であり、シェフである三船忍。表紙イラストであるように、長髪に髭という風貌。私の親戚に、似たような姿で料理店をやっている人がいて(和食中心だけど)、読んでいると、その人の顔が頭に浮かんで仕方がなかった(笑)
作品の形としては、ミステリという風に言えるのだけど、謎解き要素はそれほどない。店にやってきた客が放った言葉で、本人すら謎があるとは思っていないものの真相を解き明かす、というものや、謎として出てくるものの解くには専門知識が必要、とか、読者に「これが謎です。論理的に解いてください」というような、そういうものとは印象が異なる。
ただ、この作品の場合、そういう謎をメインにするのではなく、その背後の心情を描くのが趣旨なのだろう。
読んでいて、何よりも感じたのは、探偵役・三船の魅力。紹介にも書いたように、見た目はちょっといかつくて、無口。しかも、最初に収録されている表題作では、(相手が悪いのだけど)謎解きの際にも強硬な態度に出たりしてちょっと怖い印象も覚えたのだけど、2編目、3編目と読み進めていくうちに人物像が明らかになって、人情味も強く感じられてくる。語り部である店のギャルソン・高築と一緒に(高築は、店に入って間もない、という設定)、三船という人物を理解していく様な気さえした。三船だけでなく、もう一人のシェフ・志村、ソムリエの金子と言った面々も活き活きと感じられる。それらを含めて、温かいお店、というイメージに辿り着いた。
で、考えてみると、三船がどういう人間性の人なのか、はわかったけど、どこで修行をしていたのか、とか、そういった過去とかは相変わらず謎のまま。続編では、そういうのも少しは明らかになるのかな? などというのも期待してみよう。

No.2372

にほんブログ村 本ブログへ





http://ylupin.blog57.fc2.com/blog-entry-7505.html
スポンサーサイト



COMMENT 0

TRACKBACK 1

この記事へのトラックバック
  •  タルト・タタンの夢/近藤 史恵
  • 近藤史恵さんの「タルト・タタンの夢」を読み終えました。ビストロ・パ・マルは、下町にある小さなフレンチ・レストランです。店員はオーナー・シェフの三船さん、料理人の
  • 2012.09.09 (Sun) 21:01 | 日々の記録