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(書評)ボディ・メッセージ

著者:安萬純一

ボディ・メッセージボディ・メッセージ
(2010/10/09)
安萬 純一

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「探偵を二人、よこして欲しい」 具体的な内容を告げずに、ディー・デクスター探偵社に入った依頼。それに従って、館を訪れたスタンリーとケンウッドは、やはり何もわからないままに、バラバラ殺人に巻き込まれる。一面の血の海と、切断遺体。急ぎ逃げ帰って、ボス、警察と共に館へ戻る二人だったが、遺体も血の海も跡形もなく消えていて……
第20回鮎川哲也賞受賞作。
一応、アメリカが舞台ということもあり、雰囲気としては翻訳ミステリのような印象も抱かせる作品。まぁ、別にアメリカだから、といった特殊性はないのだが(銃が出てくる程度、だろうか)
とにかく、導入部の引き込みは見事。謎の依頼を受けて訪れた館。何の言葉も発しない使用人。これだけで、凄く不気味な印象を与え、そして、凄惨極まりない事件と遺体の消失。二人の探偵を容疑者に仕立て上げるため、というのなら、遺体を隠す必要はないし、完全犯罪を目論むなら目撃者を作る必要がない。しかも、現場となった館は奇妙な作りで、姉妹が住んでいたはずなのに一人しか暮らしていた形跡がない。写真や、一部の服だけが消え去っている。
凄惨な事件と、ちぐはぐな状況。それがより一層、不気味さを醸し出して、一気に物語に引き込まれた。
そして、次々と同様の謎が提示されながら展開していき、でも、最終的にはしっかりと、論理的に謎が解明される。メイントリックに関しては、全く予想外のことで、「あっ!」という感じであったし。最初の、不気味な様相で引き込まれて、最後までしっかりと楽しむことが出来た。自分の書いたダイイングメッセージ(?)に悩む、とか、ちょっとした遊び心も好き。
ただ、巻末の鮎川賞選評によると、このトリックというのは、似たようなものが有名作品であるらしい。私はそれを知らないで読んだので新鮮に楽しめたが、インパクト抜群なだけに、それを知っているとすぐにわかってしまうだろうな、と思う。
それから、個人的にはこちらが引っ掛かったのだが、犯人の計画がかなり都合良く行きすぎ、というところだろうか。周到な計画を立てているのは間違いないのだが、それでも、希望的観測に立った計画と言わざるを得ない。それが全て計画通りいってしまうと、どうしても「ちょっと……」と感じる。
そんなわけで、終盤、多少、引っ掛かったところはあるのだが、でも、最後まで楽しんで読むことが出来たのは間違いない。

No.2405

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