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(書評)親は知らない ネットの闇に吸い込まれる子どもたち

著者:読売新聞社会部

親は知らない―ネットの闇に吸い込まれる子どもたち親は知らない―ネットの闇に吸い込まれる子どもたち
(2010/11)
読売新聞社会部

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数年前、毎日新聞社が『ネット君臨』というどうしようもない本を出したことがあった。
本書も、それと同じレベルの本である、と言えよう。
とにかく、読んでいてわかるのは、客観的なデータがない、ということ。
取材した、この人は、こういう事情でそれを行った。そして、そのときに、こういった経験をした。そしてその人は、こう語っている。それを元に、今度は、「こういうことになるのだ」と一般化してしまう。実際に、それが一般的なものかどうかもわからない。また、携帯、インターネットがなかった時代がどうなのか、もわからない。つまり、典型的なネット以前・以降の分断をしてしまっているのである。
例えば、第1章。インターネットを用いた売春などをしている、ということで、出会い系サイトから、プロフなどにその主流が変化している、といったことが書かれる。これは確かにそうなのだろう。しかし、そもそも、児童買春はどうなのか、が全く書かれていない。例えば、1990年代の半ば、まだ、ネットが普及していない時代にも、児童買春はあった(援助交際、という言葉が流行語となったのは1996年)。当時は、テレクラなどがその舞台であっただけである。また、子供の下着を、なんてのも同様で、当時は、ブルセラショップなどが多く存在していた。まず、そういった存在を一切、考察していない。
次に、第5章などでは、ネットで知り合って、女児狩りに、なんていう事件が記される。
いかにも、そういう事件が増加しているような印象操作である。しかし、実際には、全く見ず知らずの人間によって、性的暴行が行われるような事件件数が減っている、という統計があるのだが(無論、統計が完璧である、とは言わない。しかし、相談体制などが充実してるのに、減少傾向、というのは減っている可能性が高い、と言えまいか?) しかも、その流れで、同人誌即売会を偏見だけで書き、「非実在青少年」規制を主張するのは、ただの誘導である。
さらに、ネット依存症なんかにしても、そもそも、この言葉ってまだ厳格な定義などがないはず。しかも、出てきたケースで、親が学校に「いじめなどなかったのか?」と聞いて「なかった」と言ったから、ネットゲームが原因だ、とするのはおいおいとしか言いようがない。
客観的な論拠がなく、いくつかのエピソードを挙げて、しかも、「ネットは悪」が先に立った解釈で味付けをした書。
『ネット君臨』に対しても書いた言葉だけど、本書も、こう言えるだろう。
「嘘、大げさ、紛らわしい」本である、と。

No.2409

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