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(書評)確信犯

著者:大門剛明

確信犯確信犯
(2010/07/31)
大門 剛明

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14年前に起きた殺人事件。被告は、証拠不十分により無罪という判決を受ける。「犯人はあいつだ」という被害者の息子の叫びを残し。しかし、14年後、末期癌に冒されたその被告・中川は、自らが犯人であることを告白し逝去する。そして、その直後、判決を下した当時の裁判長・末永が何者かに殺害される。
デビュー以来、司法に関する問題を取り扱った作品を発表し続けている著者。本作も、その流れにある。ただ、これまでに私が読んだ著書3作と比べると、良くも悪くも「軽い」という印象を受けた。
本作も、司法に関する問題を取り込んである。例えば、憲法39条の「一事不再理」。そして、法科大学院制度による司法改革について。
一事不再理に関しては、冒頭に書いた紹介文がそのまま内容に当てはまる。罪を犯したことが明らかでも、一度、無罪が確定すれば、犯人が罰せられることがない。冤罪を題材にしたものとは真逆ながら、可能性としては、と思わされる。そして、司法改革、法科大学院制度により、却って「司法試験に合格するために金が掛かる」という状況というのは、様々なところで指摘される通り。これも、司法の問題を取り扱った話と言えると思う。
ただ、そういうものを取り入れつつも、本作に関して言えば、より軽いサスペンス作品として描かれた作品のように感じる。
14年前の事件の被害者遺族である拓実。状況証拠としては、この上なく黒く、しかも、そのまま行方をくらませてしまう。本当に、彼が犯人なのか? そして、その周囲で、「自らのため」に動く関係者達。という流れで、それぞれの人物の醜い部分を描きながら、物語が進んでいく。先に書いたような問題は提起しながらも、そのそれぞれの行く末というのを中心に読む形になった。
正直なところ、登場人物たちの色恋沙汰とか、かなりチープな印象がある。犯人特定についても、ちょっと強引じゃないか? という部分がある。先に書いた「感情移入しづらい」と併せて、そういうので、どうも「軽さ」を感じてしまう。それ自体が欠点とは思わないものの、好き嫌いは分かれそう(個人的には、ちょっと軽すぎて、という感じ)
エピローグでのやりとりとか、最後はニヤッとさせられた部分はあるものの、これまで読んだ著者の作品の中では、ちょっと低めの評価になるかな、という風に思う。

No.2413

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