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(書評)キング&クイーン

著者:柳広司

キング&クイーン (100周年書き下ろし)キング&クイーン (100周年書き下ろし)
(2010/05/26)
柳 広司

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数少ない「女性SP」という職をやめ、現在はバーの用心棒のようなことをしている安奈。そんな彼女に、常連客が持ち込んだのは、警察にも警備会社にも仕事を断られたという外国人男性の身辺警護。その男性・アンディは、天才的なチェスの王者で……
なんていうか……偉そうなことを言うなら……著者の作品としては随分と珍しい話だな、という感じ。
著者の作品というと、多くを占めているのは、歴史上の人物などを主人公にして、その異文化などとの接触による事件を起こす、というもの。そこから外れた作品として、『ジョーカーゲーム』のような傑作作品もあるわけだが、これも歴史上の、ある時代を舞台に、というのが非常に大きな役割を持っている。
そんな中、本作は、というと現代の日本を舞台にした作品。そして、(蘊蓄などは多く取り入れられているにせよ)サスペンス劇としての部分を主にした物語となっている。
では、そのサスペンス作品としての評価、というと……
ちょっと迫力不足かな? という感じ。事件が起こって、過去に何度も狙われて、しかし、助けがこなくて、という割に、殆ど襲われたりする場面というのはないし、また、依頼をした側も緊張感に欠けている印象がどうしても残る。読み終わると、タイトルの意味だとかもわかり、「なるほど」と思うものの、それをより衝撃的にするためにも、このサスペンス部分に迫力が欲しいな、と思うのだ。
仕掛け自体はしっかりと決まっているのだが、どうしても「それだけのための作品?」という風に感じてしまうのだ。
勿論、『ジョーカーゲーム』のような大傑作作品を読んでいるので、期待値が跳ね上がっている結果、というのはある。でも、それって、一度、そういう作品を書いた人には絶対にくる宿命じゃないのかな? と感じる。
……いや、あまり高くない評価をしたことを、著者のせいにするな、というと返す言葉もないのだけど。

No.2439

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  •  『キング&クイーン』柳広司
  • 帯の惹句でトリックの方向性が判ってしまう。 編集者ってのは読書の楽しみを奪うのが仕事なのだろうか? なんかしょっぱい話だなぁ。 スケールもみみっちい。 チェスにこんな ...
  • 2012.03.09 (Fri) 00:53 | 時間の無駄と言わないで