fc2ブログ

(書評)無貌伝 人形姫の産声

著者:望月守宮

無貌伝 ~人形姫の産声~ (講談社ノベルス)無貌伝 ~人形姫の産声~ (講談社ノベルス)
(2010/12/07)
望月 守宮

商品詳細を見る


「人形を見せてあげる」 将来も定まっていない大学生・秋津は、遥に誘われ、彼女の故郷へと向かう。そこは、怪異・ヒトデナシたちが集まる島であり、幼き日の彼女を模した人形たちが済んでいる。遥が姿を消し、島に住む人々の命が消え、人形達に命が灯る……
シリーズ第3作であり、シリーズの探偵役である秋津の若き日を描いた物語。
本作も入れて、3作を読むと、どちらかというと1作目のファンタジー世界を舞台にしながらも、しっかりと推理を主にする作品というよりも、怪異「ヒトデナシ」の織りなす奇妙な世界というのを主に描こうとしているのではないか、ということを感じる。
本作も、命を「移す」ヒトデナシによって死んでいく人々と、命を吹き込まれる人形達。失われた1日分の記憶。といったものはあるものの、それよりも、そのヒトデナシたちが作り出す島の様相が印象的。「作られた順」であるが故に、幼い方が姉といった人形達の姉妹。永遠の炎のヒトデナシによって燃え続け、しかし、再生のヒトデナシによって修復され続ける館。こういった舞台設定が、やはり非常に幻想的であり、そこに何よりも惹かれた。
その一方で、謎解きなどは、やや弱い印象。まだ、秋津そのものも「探偵」として活躍していない、とか、そういうこともあるのだが、色々と考えつつもひたすらに流され続けるだけで、過去のような頼もしさはない。
では、秋津の特長である無貌との因縁が描かれるのか、と言えば、そういうものもない。秋津が、その顔を奪われるところを、と期待していただけに、そこもちょっと肩すかしを食らった感がある(ここは、私の勝手な期待だが)
久しぶりのシリーズ新作だったわけだが、どちらかというと、「どう、その幻想的な世界を描くのか」というのを主に楽しむシリーズとして、期待する方向性を修正しよう、というのを読んでいて何よりも感じた。

No.2440

にほんブログ村 本ブログへ





スポンサーサイト



COMMENT 0