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(書評)追悼者

著者:折原一

追悼者追悼者
(2010/11)
折原 一

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浅草の古いアパートで一人の女性の遺体が発見された。丸の内の大手旅行会社に勤める被害者・大河内奈美は、その仕事の傍ら、夜な夜な、男を漁っていた、ということが伝わり、マスコミを賑わせる。駆け出しノンフィクションライターの笹島は、同じく新人ライターである高島百合子とともにその事件を追って……
最近の作品は、実際の事件をモチーフにすることの多い「○○者」シリーズ。本作も、その傾向は踏襲している。
ただ、作品の雰囲気としては、初期の「○○者」シリーズ、『冤罪者』などのような雰囲気がある。というのは、まず、主人公がノンフィクションライターである、という点(初期の主人公・五十嵐友也もちょっとだけ登場する) それから、手記であるとか、インタビューであるとか、というようなものを次々と挿入していく、というところが共通する。シリーズ前作の『逃亡者』辺りは、とにかく「逃げる主人公」を中心としてサスペンスフルに描いていたわけで、それとはちょっと毛色が異なっている、と感じた。
で、その物語は、というと、被害者女性を調べ始めた笹島が、次々と見つけていく彼女の周囲の事件。
「私に関わると不幸になる」
という言葉の通り、多くの人々が不審な死を遂げ、それ以外にも妙なことが起こっている状況。そこに違和感を感じつつも、しかし、彼女自身が被害者であることを考えると彼女が……とも考えづらい。そもそも、なぜ、彼女は男を漁っていたのか? そこすらわからない。謎、という意味では非常に魅力的ではある。
ただ、初期の作品に似ている、のが、その解答も含めて、なのはちょっと気になる。
こういっては何だが、あまりに作り込まれすぎていて、無理やり感をどうしても感じてしまう。(ネタバレ反転)本作の主要トリックには、入れ替わり、があるわけだがこれが強引過ぎる。確かに、「そっくり」な他人は存在する。仕草の研究もできる。しかし、一瞬ではなく、ずっと入れ替わってばれない、というのは流石に無理がある(ここまで) 他にも、事件に関わった存在などで、「結局、それは何だったの?」というところとかも色々と感じる部分もある。
著者の最近の作品の中では、ちょっと完成度が低いかな? というのを感じずにはいられない。

No.2441

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