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(書評)連続殺人鬼カエル男

著者:中山七里

連続殺人鬼 カエル男 (宝島社文庫)連続殺人鬼 カエル男 (宝島社文庫)
(2011/02/04)
中山 七里

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「きょう、かえるをつかまえたよ」 マンションの13階からぶら下げられた女性の全裸死体。そこには、子供の書いたような犯行声明文が添えられていた。警察の捜査が難航する中、次々と起こる事件。街はパニックに陥っていく……
著者のデビュー作『さよならドビュッシー』と同じく、「このミス」大賞の最終選考に残った作品。
その『さよならドビュッシー』など、岬先生を探偵役としたシリーズが、音楽を題材としたスポ根モノという印象を与える作品であるなら、本作はかなりのエログロモノ。表紙の、脱力気味なものとは違って。ただ、それでも音楽を中心に添えてくる、という辺りは、やはり、そういうところに意識があるのかな? とも感じる。それ以外に共通点を感じない、とも言えるのだけど。
マンションの事件を皮切りにして、次々に発生する事件。被害者の共通点は見つからず、ただただ、その幼児性、残虐性だけがクローズアップされる。その中で、次第に高まる警察への不審と精神障害者への疑惑。そして、それはやがて爆発して……
なかなか掴めない犯人の手がかり、そして、人々の不満の爆発から犯人へのヒント。さらにひっくり返し……と、最初から最後まで息をつかせないで読ませる、という物語の綴り方は非常に上手い。先に書いた『さよならドビュッシー』とは全く、方向性が違うとか、そういうのも含めて、なるほど、最終選考まで残る、というのはよくわかる。
ただ、テーマの一つである刑法39条に関する部分は、正直言って、かなり薄っぺらい。また、流石に中盤のあの暴動はどうかと思うし、そこから犯人との格闘だとかがかなり長く続くので、ちょっと退屈と感じるところもある。古手川くん、君には不死身かい、とか思ったし(笑) さらに、黒幕のやったことについても、流石にそこまで思うがままにすることは不可能だと思うのだが……。細かく見ると、色々と気になる部分がある。
でも、最終選考に残る、というのは素直に納得。そのパワーは存分に感じられた。

No.2476

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  •  連続殺人鬼 カエル男
  • TBSラジオ「ニュース探求ラジオDIG」が終わってしまいます。。。  とても残念です。 『チョット左過ぎないか?』とか『弱者救済にも度が過ぎないか?』とか『外山アナ感情
  • 2013.03.29 (Fri) 13:07 | 蜘蛛の糸